全国コンテストの切り花部門で「フラワー・オブ・ザ・イヤー」に輝いた「咲八姫」
鹿児島県育成のテッポウユリ品種「咲八姫=さくやひめ=」が、ジャパンフラワーセレクション(JFS)切り花部門で「フラワー・オブ・ザ・イヤー(最優秀賞)」に選ばれた。花き農業が盛んな沖永良部島では生産が行われており、今年4月に初出荷が実現したばかり。全国コンテストでトップに輝いたことは生産者の励みになり、活気づきそうだ。
同セレクションは、実行協議会((一財)日本花普及センター、日本花き取引コード普及促進協議会などで構成)が主催。「いい花の新基準。」を合言葉に、国内外の花きの新品種を評価し、その推奨を行う審査会で、2006年度から毎年度実施(今年度で17回目)。
審査は、切り花、鉢物、ガーデニングの3部門で。うち切り花部門は今年度、春と秋の2回審査会があり、県農業開発総合センターが育成した「咲八姫」は5月の春審査会で優秀賞、11月に開かれた中央審査委員会で「これまでにない革新的なテッポウユリ。和風、洋風どちらでも利用できる」などと評価された。
県の育成品種が同セレクションで最優秀賞を受賞するのは今回の「咲八姫」が初めての快挙。同センター果樹・花き部の花き研究室、今給黎征郎室長は「花の専門家の審査で高い評価をいただいた。沖永良部島では普及に向けて生産が行われており、今年度の4月に初出荷され、タイミングよく今回最優秀賞に輝いたことで生産の励みになるのではないか」と期待する。
「咲八姫」はテッポウユリで初めてとなる八重咲きの品種で、12~15枚の花びらが重なり合って咲く。今給黎室長によると、通常のテッポウユリの2倍以上花びらがあるため温度に敏感で、時期によっては温度が足りない・逆に暑すぎるなどから、作れる時期が限られる難しさがあるという。今給黎室長は「4月限定を少しでも前後に広げ、出荷期間が長くなるよう産地とともに試験研究に取り組みたい。また、テッポウユリでは花粉が出ないものが好まれることから、無花粉の選抜、品種開発にも取り組んでいく」と語った。