「津之輝」出荷終盤

お歳暮需要を取り込み全国に発送されている「津之輝」(元井農園で)

関東中心に注文、お歳暮用で人気
住用・元井農園

 12月に入り収穫が始まった新かんきつ「津之輝(つのかがやき)」は島外などへの出荷が終盤を迎えている。タンカンに近い食味からお歳暮用として人気の商品となっており、色のりなど外観の品質に注意すれば全国に向けた販路の拡大が期待されている。

 奄美市住用町の元井農園では国道沿いの下場(平場)にある果樹園で栽培(植栽面積約100㌃)。今月1日から収穫を開始したが、外観の色のりで独特の紅はまだ不十分として1週間中断。その後も間を置き、今期は3回に分けての収穫となった。

 元井孝信さん(66)は「収穫に入ったものの、暖冬の影響で色がのり切れず、今月中旬以降にようやく冷え込んだことから作業を本格化した。梅雨の時期や秋の長雨により果面に流れるような小黒点がつき、この部分は色がのらず黄色のままとなった」と語り、気象条件に左右される栽培の難しさを挙げる。内容品質の方は酸切れが十分で糖度が11~13度以上まで上昇。「ぷりっとジューシーな食感と高い糖度が楽しめる濃厚な味わい」の特性が発揮された商品に仕上がった。

 元井農園では今期約10㌧の収量を計画。ところが果皮障害などにより約8㌧に。うち約2㌧はJAの共販、残りを関東が中心の全国からの注文に応じ、宅配で発送している。2Lや3Lサイズの大玉がメインで、専用の化粧箱に入れて3㌔3千円で販売。「顧客からの注文は毎年増えている。タンカン購入者がそのまま『津之輝』にスライドしている。年末のお歳暮需要を取り込めるのは魅力的。安定した注文が見込めるだけに、それに応えていくためにもどれだけきれいに作れるか。難しいかんきつだが、生産者として栽培技術を高めていきたい」(元井さん)。

 元井農園の発送は25日まで。12月に入り雨天続きだが、腐敗果が混入しないよう、風通しを良くしての予措(1週間程度貯蔵しての果皮の乾燥)にも注意している。