地産地消 情報共有大事

農林水産省の担当課長による基調講演もあった「大島地域 食育・地産地消推進研修会」

コーディネーター派遣事業活用を
奄美の食文化も学ぶ 大島地域研修会

 「大島地域 食育・地産地消推進研修会」が23日、奄美市市民交流センターであった。奄美大島、喜界島(町役場会場とオンラインで結ぶ)各地区の食生活改善推進員連絡協議会の会員、関係行政機関担当者など95人が出席。農林水産省の担当者による講演では課題解決に向けて地産地消コーディネーター派遣事業の活用や実際に取り組んでいる所との情報共有(サイトなど活用で可能)の大事さが呼び掛けられた。

 大島地域かごしまの”食”交流推進協議会(会長・俵裕樹奄美市農林水産課長)の主催。郷土料理の伝承など地産地消を基本とした健康で豊かな食生活実現を目的とした研修会は、「地産地消の推進について―農山漁村(むら)の宝再発見!」と題した基調講演を同省農村振興局農村政策部都市農村交流課課長の影山義人氏、「奄美の長寿食文化と伝統野菜を次世代に継承―『作る』から『伝える』人へ―」と題した事例講演を食育シニアアドバイザーの久留ひろみ氏が行った。

 地産地消の意義について影山氏は、▽生産者=消費者ニーズに対応した生産が展開できる▽消費者=「顔が見える関係」で生産状況なども確かめられ、新鮮な農林水産物を消費できる▽生産者と消費者の結びつきにより、国産農林水産物の消費拡大、食料自給率の向上▽地場産物が「生きた教材」として使用され、食育につながる―などを挙げて、「地産地消は、いいことだらけだが学校給食などでの普及に向け課題も多い。解決に向けて農水省のコーディネーター派遣事業を活用してほしい」と呼び掛けた。

 同事業は施設給食へ地場産物を安定的に供給する体制整備などを支援。推進にあたり課題を持つ地域・団体などへ申請に基づき、課題解決に向けた助言・指導を行う専門家を派遣するもの。2021年度は12地区の派遣実績があり、活用事例も報告された。

 「地産地消に取り組んでいる所と情報共有が大事」(影山氏)として、全国地産地消推進協議会への参加、6次産業化・地産地消メールマガジンの利用も求めた。

 久留氏は奄美の食文化について「海の幸、山の幸、里の幸」「大きく分けると沖縄に近い。しかし、保存食はみそ漬けを主にしていたため、みそが主流になり、味付けはみそ味が多い」「塩味付けの多い沖縄とはまた少し違い、奄美独自の料理になっている」「年中行事と共にある」などを挙げた。また、奄美は長寿世界一を2人も輩出した中、長寿者の食生活では▽芋・みそ・雑穀・小魚▽海草・薬草・黒砂糖▽適度な黒糖焼酎―を紹介した。