「奄美の歓迎は世界一」

営業航海最後のクルーズで名瀬港に寄港した「ぱしふぃっくびいなす」

「ぱしふぃっくびいなす」最後の営業航海クルーズ
名瀬港にも寄港 船長が感謝メッセージ

 日本クルーズ客船㈱(大阪)の豪華客船「ぱしふぃっくびいなす」(2万6518㌧)が29日、奄美市の名瀬港に寄港した。「ニューイヤークルーズ」と銘打ったツアーには出発地の神戸港から約300人が乗船したが、同船の営業航海としては最後のクルーズで、同船の船長から「奄美大島の皆様」と題した感謝のメッセージが寄せられた。

 同社企画課によると、最後のクルーズは今月27日に神戸港を出港。名瀬港に続いて31日に石垣島の石垣港に寄港、元日の1月1日には那覇港(沖縄本島)に寄港し停泊、翌2日の夕方に出港し4日に神戸へ戻る日程。

 名瀬港には予定より早く午前7時前には入港。奄美市とあまみ大島観光物産連盟の関係者が出迎えた。乗客はバス8台やレンタカー、タクシーに分かれ島内観光地に繰り出した。午後5時半には出港、平田まりなさんらのシマ唄や手踊りで見送った。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、コロナ以前のようなセレモニーが開催できなかった中、最後の寄港に「ぱしふぃっくびいなす」の松井克哉船長がメッセージを寄せた。「1998年に就航して以来、奄美大島はじめ薩南の皆様は、クルーズ事業早々の頃から積極的なクルーズ船受け入れをしてくださった。その海のように広い心遣いで、毎回毎回寄港するたびに胸を打たれ、お客様や乗組員は幾度涙を流したことでしょうか」「平素から『奄美の歓迎は世界一です』と、お客様には伝えていますが、その変わらない美しく優しいおもてなしの心は真の世界自然遺産にふさわしいと確信しています」といった内容。再び奄美を訪れたい希望を伝え、「長きにわたり、まことにありがとうございました」で結んでいる。

 船長からの感謝のメッセージに観光物産連の境田清一郎事務局長は「就航から24年間、『ぱしふぃっくびいなす』にはお世話になった。今年も4月以降、今回のラスト航海を含めて5回も名瀬港には寄港していただいた。心を込めて歓迎、見送りをしてきたが、最終寄港にあたりメッセージをいただき、やり続けて良かったと思う。寂しさがあるが、励みにしていきたい」と語った。

 「ぱしふぃっくびいなす」は、「飛鳥Ⅱ」「にっぽん丸」と共に日本の三大豪華客船とされた。最大で620人が乗り込めるが、イギリス船籍のクルーズ船で発生した新型コロナの集団感染によって、日本各地の港で次々とクルーズ船の入港が中止になるなど打撃に。徹底した感染対策を行い、クルーズを再開したものの、コロナ前の水準まで客足が戻る見通しは立たず、営業航海終了となった。