放射冷却で「毛嵐」

5日の朝方、奄美市住用町のマングローブ林では放射冷却により「川霧」・「毛嵐」が観測された(西康範さん撮影)

名瀬・古仁屋 最低気温9度台まで下がる

 5日の奄美地方の最低気温は、気象庁の観測地点のうち名瀬と古仁屋で9度台まで下がった。朝方、奄美市住用町のマングローブ林では放射冷却により川霧が広がり、蒸気が沸き上がるような「毛嵐=けあらし=」が水面からうっすらと立ち上がる様子が見られた。

 気象庁によると、この日の名瀬の最低気温は9・5度(午前5時17分)で、平年差3・0度、前日差0・4度それぞれ下がり、「最も寒い時期を下回る」となった。古仁屋は今季最低の9・7度だった。

 早朝の気温の低下は放射冷却によるもの。「風が夜間弱まり、前日からの好天で放射冷却がかなり効いた」(名瀬測候所)。5日は晴天に恵まれたが、前線が近づく関係で6日夕から夜間にかけては雨の降る所もある見込み。それ以降は曇りや晴れの予報となっている。

 放射冷却がもたらした毛嵐は、大気の気温が海水や河川などの温度より低くなり、水面から蒸発した水蒸気が大気によって急激に冷やされて発生する蒸気霧の一種。晴天、低温、無風下といった条件が重なると発生する。マングローブ林でも幻想的な光景が見られたが、気温の上昇とともに毛嵐は姿を消した。