「裂き織り」技法を用いての就労支援の場としてオープンした「あしたのえがお」のスタッフら
「自分らしさ」を尊重しての障がい者就労支援を展開する指定福祉サービス事業所「あしたのえがお」が奄美市名瀬安勝町にオープンした。スポーツウエアなど使用しない布を有効活用することでSDGs(持続可能な開発目標)を実践、大島紬の織り機を使い「裂き織り」技法を用いての商品作成といった作業により地域貢献を目指す。
㈱アイズ・カンパニー(園田明代表取締役会長)のグループである㈱ふるサポート奄美が開設した。ふるサポート奄美は、支援を必要とする障がいのある児童生徒を対象にした放課後デイサービス「ヒマワリクラブ」などを運営するが、利用する子どもたちの保護者から「学校卒業後、一般の会社で働くのは難しい。受け入れてもらえる居場所を」との声を受け開所に至った。
展開する福祉サービスは、働く訓練をする場所を提供し、将来的に就労を目指す就労継続支援B型。雇用ではなく利用者としての通所になり、受け入れる定員は20人(18歳以上)。今月4日開所したばかりだが、すでに30~40歳代の女性2人が利用している。管理者の大野力さん(44)は「スタッフ4人体制で受け入れ、みんなが笑顔で楽しく作業できる場を心掛けている」と話す。
事業所には大島紬の製造業者が提供した3台の織り機が並ぶ。バスケットボールウエアブランド「バイオレーラ」商品で使用されないハギレなどを活用、岩手県で伝わる裂き織りの技法で原料の布を裂き、これをよこ糸にし、たて糸は既存品を使い織り機で生地を作成、コースターやバッグなどの商品に仕上げる。販売は多くのグループ企業やパートナー企業を抱えるアイズ・カンパニーが担う。
運営方針・ビジョンとして掲げるのが「故郷にできる恩返しを」。就労訓練の場提供だけでなく総合的な相談窓口、地域の寄り合い所、地域行事参加交流、緊急避難所としても機能していく。