不法投棄ごみ堆積

危険な急斜面で、不法投棄ごみの回収作業にあたった関係者たち=11日午前、天城町西阿木名(三京)

「自然遺産の島で恥ずべき行為」
産廃・農用廃プラなど 天城町三京

【徳之島】天城町西阿木名(三京)の町道沿いの森林急斜面では、家庭ごみを含む一般廃棄物と農業用肥料袋(廃プラスチック)など産業廃棄物の不法投棄が続いていた。県産業資源循環協会奄美支部徳之島部会や関係行政は11日、人海戦術で不法投棄ごみを回収。あらためて「世界自然遺産の島で恥ずべき行為だ」と警鐘を鳴らした。

無残な光景をさらしていた地点は、JAあまみ徳之島中央家畜市場(三京)から徳之島トンネル方向に約300メートル付近。ふだんは人目につきにくい同町西阿木名方面に通じる町道沿い。「秋利神川」系上流の渓谷部(路上深さ約20メートル)の急斜面。アマミノクロウサギの生息エリアの一つ。雑多な一般家庭ごみや廃家電、産業廃棄物の肥料袋(廃プラ)などが覆っていた。

同頻発ポイントについては町当局も以前から把握していた。昨年11月の県不法投棄防止月間合同パトロールの際、農業用廃プラも目立つことを確認。回収作業は約3年前に実施して以来今回で3回目。

県産業資源循環協・徳之島部会加盟の8社(8人)や県・地元町関係者ら約20人が参加。足元の悪い危険な急斜面から手作業で貨物フレコンに集め、クレーン車で回収した総重量は1・410トンにのぼった。

立ち会った県徳之島事務所保健衛生課の松﨑尚也衛生技師(30)は「農業用廃プラ類は3町(徳之島地域農業用廃プラスチック類適正処理推進協議会)が定期的に回収しており、そこで適正処理する認識をもって欲しい。世界自然遺産の島での不法投棄は恥ずべき行為」。JAや各町農政に啓発文書を依頼するという。

県産業資源循環協奄美支部の福永健副支部長(47)も「不法投棄があれば世界自然遺産登録の取り消しも考えられる。農業用ビニール(廃プラ)も多く島民一人一人の意識向上が大切。JA側など販売サイドは回収処理費用も先に徴収する(デポジット制)なども検討すべきと思います」と話していた。