和泊町で特定地域づくり事業協同組合シンポ

パネルディスカッションの参加者ら=和泊町=

幅広い年代の人材確保へ
労働者派遣と職業紹介組み合わせ

 【沖永良部】「特定地域づくり事業協同組合シンポジウムinおきのえらぶ」(県中小企業団体中央会主催)が12日、和泊町役場結いホールであった。講演やパネルディスカッションを通して、組合による地域活性化や労働者派遣と職業紹介の組み合わせによる人材確保について考えた。

 特定地域づくり事業協同組合は、人口減少に悩む過疎地域と移住希望者を結びつける国の制度。複数事業者で組合を作り、繁忙期や季節に合わせて人材を各事業者へ派遣することで安定した雇用環境を確保する。2021年4月に設立された「えらぶ島づくり事業協同組合」が県内第1号となる。

 シンポジウムは制度の推進を目的に開催。オンラインを含め95人が参加した。

 最初に総務省自治行政局地域自立応援課地域振興室課長補佐の天野純之介さんが、組合制度の概要や各自治体の事例を説明。「事業者と行政、派遣職員の3者が求めていることを上手くマッチングさせないと、どこかで無責任な対応になる。3者が一体となって事業を盛り上げてほしい」と呼び掛けた。

 続いて、えらぶ島づくり事業協同組合事務局長の金城真幸さんが講演。組合の推進に向けた労働者派遣事業以外の新たな取り組みとして▽移住定住促進事業▽有料職業紹介事業(昨年10月許可取得)―の二つを紹介し「町が推進する移住定住促進事業の一部を組合に委託してもらえるよう協議している」「人材を事業者にあっせんして成功報酬をもらうことで、組合運営の安定化と派遣職員の待遇改善に努めたい」と述べた。

 また、全国中小企業団体中央会事務局次長の佐久間一浩さんが、特定地域づくり事業協同組合が職業紹介事業に取り組む上での注意点を説明した。

 最後に、組合で目指す地域と職場の活性化をテーマにパネルディスカッションを行い、天野さんと佐久間さん、金城さんに加え、和泊町企画課課長補佐の永野敏樹さん、知名町企画振興課課長補佐の永野道也さん、えらぶ島づくり事業協同組合職員の寺内佑介さん(オンライン参加)の6人がパネリストを務めた。

 組合で労働者派遣と有料職業紹介の二つの事業を行うことのメリットについて金城さんは「労働者派遣の職種は、どちらかというと肉体労働が多く、年齢的に若い人が多くなる。職業紹介であれば、60~70代の人でもこれまでの経験を生かした職業を紹介できる。2つの事業があることで幅広い年代の人材を確保できる」と述べた。農業やホテルスタッフとして1年間働いた寺内さんは「今までやったことのない仕事ができるし、自分の適性を見つけやすい。事業者を変えていくうちに地域との関わりも密になり、島になじめた」と語った。

 2日目は、意見交換会のほか、えらぶ島づくり事業協同組合の事務所や組合員の事業所を視察した。