22年海難事故

昨年10月25日、宇検村枝手久島沖で起きた作業船の乗り上げ事故。ヘリコプターでつり上げ救助された(奄美海上保安部提供)

死者・行方不明者、前年同14人
観光客の人身事故多発 奄美海保

 奄美海上保安部は12日、2022年の奄美群島周辺海域における海難事故の発生状況(速報値)を発表した。船舶事故は前年比2隻減少の7隻(うち死者・行方不明者なし)、人身事故は同2人増の18人(同14人)。死者・行方不明者の総発生数14人は、前年と同数。「マリンレジャーに伴う海浜事故」は9人で、うち7人が群島外からの観光客だった。

 船舶事故の発生数は7隻(前年9隻)で種別では「乗り上げ」が4隻(同3隻)、機関故障など「運航不能」が3隻(同4隻)。前年1件ずつ発生していた「転覆」「浸水」が22年はゼロ。死者・行方不明者は、前年同様いなかった。

 船舶種別では、「漁船」が1隻、「プレジャーボート等」が4隻。前年ゼロだった「旅客船」「作業船」が各1隻発生。貨物船やタンカーの事故はなかった。

 一方、人身事故者の総発生件数は18人(前年16人)で、うち死者・行方不明者は前年14人と同数。区分別では「マリンレジャーに伴う海浜事故」が前年と同数の9件。車両の海中転落事故など「マリンレジャー以外の海浜事故」は22年含む過去5年では最高の9件だった。

 事故事例として、昨年6月27日、奄美市の大熊漁港を出港したミニボートが、山羊島沖合で遊泳中にエンジンが停止し救助を要請。付近を航行していた小型船に引航され出港地に入港。乗船者にけがなどなかった。

 また、10月25日明け方頃、宇検村の枝手久島沖で乗り上げた作業船が、第十管区海上保安本部に救助を要請。巡視船、航空機により乗組員8人全員を無事救助した。

 同部は、昨年の事故防止の主な取り組みとして、自治体、警察など関係機関やボランティアの海上安全指導員などと協力。合同海浜パトロールを行い、奄美市の地域おこし協力隊員を一日海上保安官に起用するなど啓発活動をした。

 今後は、「奄美大島及び徳之島が世界自然遺産に登録され、コロナ禍も落ち着き、更なる観光客の増加を予想。引き続き、事故防止活動に注力する」としている。