オンラインでコロナ禍前後の市場規模(沖縄県)を報告する中島泰さん
「奄美・沖縄」観光交流連携事業の一環として、奄美・沖縄のガイド及び関係者による意見交換会が19日、オンラインであった。各地域の観光関係者など約30人が参加。「持続可能な観光」「責任を持つ観光」についての講演と意見交換で、観光復興の認識を共有した。
観光かごしま大キャンペーン推進協議会と、(一財)沖縄観光コンベンションビューローの共催。
鹿児島県と沖縄県は2015年から連携し、観光プロモーションによる誘客を展開している。今年度の同交流連携事業は、受入側だけではなく観光客も責任をもつ「レスポンシブルツーリズム」を推進。(公財)日本交通公社・観光地域研究部の中島泰さん(環境計画室長)が「ポストコロナとサステナブルツーリズム(持続可能な観光)」をテーマに講演。
中島さんは2022年に「おきなわサステナラボ」を開設。沖縄県の持続可能な観光のあり方に携わっている。
講演で中島さんは、サステナブルツーリズムを「現在及び将来の経済・社会・環境への影響を十分に考慮する観光」と定義付け、コロナ禍を契機とした環境変化を報告。沖縄県のコロナ禍前後の市場規模は、▽国内客=19年5562億円に対し20年2872億円▽海外客=19年1922億円に対し20年193億円―と、インバウンドが極端に減少したことを指摘。観光復活については、元に戻すのではなく「よりよい復興」を強調。地域の現状と課題により、すぐに取り組むべき問題と中長期的な課題などの優先順位付けが必要と提言した。
講演後、参加者らはグループごとに自然保護の取り組みなどを報告。持続可能な観光について意見を交わした。
各グループを傍聴した中島さんは「今後は互いのフィールドを実際に見たうえで、より具体的なディスカッションができる機会を作りたい」と総評した。