やんばると西表島の取り組み報告

講話をする伊澤館長

沖縄に生息するオリイオオコウモリのはく製に、興味津々の来場者ら

「動物の特性から対策を」
北九州市立 自然史・歴史博物館の伊澤館長

 「奄美博物館講演会」(奄美市立博物館主催)は19日夜、奄美市名瀬の同博物館で行われた。琉球大学名誉教授で北九州市立自然史・歴史博物館の伊澤雅子館長を講師に招き、沖縄島と西表島に生息する希少動物や自然保護の取り組みなどの講演が行われ、満席となる40人が来場し視聴した。

 2021年に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が世界自然遺産に登録。島内では、奄美大島と徳之島の自然に関する講演会などは開催されているものの、沖縄島北部及び西表島に関するものは、ほとんど行われていないため、同博物館の企画により実施された。

 伊澤館長の講演は、演題「沖縄の世界自然遺産 やんばると西表島」。①琉球諸島の生物学②イリオモテヤマネコの場合③島の保全―の三つのテーマで行われた。

 ①では、琉球諸島の多様性や固有性について、大陸とつながったり離れたりした複雑な地史から、北琉球、中琉球、南琉球それぞれの特徴など。②では、イリオモテヤマネコの特徴を行動圏や社会構造、食性など。③では、個体自体に影響を与える交通事故、外来種、密猟と、生息地に影響を与える環境の縮小・悪化・分絶、外来種、観光について、原因と対策などについて講話した。

 伊澤館長は「交通事故などの対策は、人間側ではなく動物側の特性を考え、原因を見つけ、対策することが必要」と述べた。

 龍郷町から参加した、奄美哺乳類研究会の阿部優子会長は「世界自然遺産に登録された島の、それぞれの希少生物の特色に興味があり参加した。島の成り立ちなど歴史的な部分から説明があり、分かりやすかった」と話した。