大和村で群島かんきつ振興大会

奄美のかんきつ農業発展などについて意見交換したパネルディスカッション

 

 

技術向上、儲かる農業提案
選果場利用促進やスマート農業推進

 

 第5回奄美群島かんきつ振興大会(奄美群島農政推進協議会主催)が22日、大和村であった。奄美群島の果樹農家や自治体の農政担当者らが出席、タンカンを中心とした県内有数の果樹産地となった奄美地域のかんきつ類の栽培技術や生産、出荷体制の向上に向け、意見交換。「生産安定、高品質化による銘柄確立を図るため、生産者及び関係者一丸となった取り組みを実践する」などとした大会宣言を採択。果樹選果場の利用促進による品質の均一化を図ることなどを確認した。

 大会は3年に1回、果樹産地の振興などを目的に行っている。午前中は現地視察があり、同村の福元地区のタンカン園で、アマミノクロウサギ侵入防止のための防護柵の設置状況や機械化による作業の効率化などの取り組みが報告された。

 村防災センターであった報告会では、県大島支庁農政普及課の松尾至身係長が、奄美大島で栽培面積が増えてきている「津之輝」やタンカンのオリジナル品種「平井Red(レッド)」の優位性などを説明。12月~3月までのリレー出荷や選果場利用促進による産地全体の収益力アップなどの可能性を指摘した。

 基調講演ではいずれもかんきつ類の栽培を行っている長島町の池元航さんと、阿久根市の西田学さんが、それぞれの農業経験から栽培技術の確立や産地のブランド化に向けた取り組みなどを報告。池元さんは「栽培技術を独占するのではなく、みんなで共有、より高めていくことで、世界をリードする技術を確立させたい」と話した。西田さんは、農業技術などを指導する県職員から農家に転身した過去を紹介しながら、「農家がもうかること、楽しいことを証明することで、若い世代に農業の大切さや魅力を伝えていきたい。個々の農家が儲かるとともに、産地全体がもうかるように産地全体で取り組むことが大事」などと話した。

 パネルディスカッションでは、池元さんと西田さんのほか、奄美市名瀬でタンカンなどを栽培している平井孝宜さんと瀬戸内町のIターン農家、広野裕介さんがそれぞれ農業の魅力やタンカンなどのかんきつ類の栽培について意見交換。平井さんは「奄美のタンカンはナンバーワンではないがオンリーワン。他産地にはない食味を生かしたブランド化を図りたい」とし、広野さんは「消費者一人ひとりと向き合った商品づくりを心掛けている。経済的にも環境的にも持続できる農業を目指していきたい」などと話した。