ヒカンザクラ開花宣言

開花宣言された満開に近いヒカンザクラの下で自然と笑みがこぼれる町役場職員

観察の森、過去最も遅く
龍郷町

 龍郷町は25日、同町長雲にある「奄美群島国立公園ビジターセンター奄美自然観察の森」で町花ヒカンザクラの開花を宣言した。昨年の24日より1日遅く、過去もっとも遅い宣言となった。

 観察の森入り口にある標準木前で則敏光副町長が開花宣言し、「今年はウサギ年、世界自然遺産も観光振興もピョンピョンはねてほしい」と笑顔で期待を述べた。

 前日24日は今年最強の寒波と強風にさらされたが、この日は風も収まり好天。標準木自体はちらほら咲きだったが、中腹あたりから満開に近い木も多く「週末にかけて見頃となり、2月は満開の花見が楽しめるのではないか」(川畑力自然観察指導員)と予想されている。

 例年ヒカンザクラは1月初旬ごろ開花する。夏に形成された花芽が休眠状態となり、秋から冬にかけて一定期間低温にさらされることで開花の準備に入る。その後気温の上昇に伴って生長する。

 全国のソメイヨシノが単一の木を始源とするクローン(同一の遺伝子)であるのとは異なり、ヒカンザクラは桜の原種の一つとされている。1本ごとに遺伝子が微妙に異なり開花時期や花色に個性が現れる。峠道のヒカンザクラもオレンジ色のつぼみ、花びらも白いものから濃いピンクまでグラデーション豊かな彩りを見せていた。

 今年の開花は、「昨年のクリスマス寒波の到来まで暖かい気候が続いたため下旬にずれ込んだ」とみられている。

 自然観察の森に約260本、本茶峠旧国道に約460本、基幹農道から自然観察の森の道路に約310本植樹されており、通称「千本桜」といわれ観賞に訪れる人は多い。

 東京から観光で訪れていた福﨑弘美さんは「都会の桜とは趣がまるで違う。色も鮮やかなピンクで、空の色、森の緑と一体化してより映えて見える。ソメイヨシノの白一色よりこちらの方がきれい」と感動した様子で語った。

 同施設は2022年10月にリニューアルオープンした際、『奄美群島国立公園ビジターセンター』の冠を銘した。空港からも近く、観光拠点となっている奄美市住用町の「世界自然遺産センター」のルート上にあるため自然観察の定番スポットになっている。