「花」と「光」で明るく照らす

観光農園&ガーデンを整備し、イルミネーションを飾り付けた村上さん(左から2番目)ら

ソーラーライトが幻想的な世界を作り出している

ガジュマルの木にも電飾が施されている(いずれも提供写真)

屋鈍集落に観光農園&ガーデン 夜は2万球の電飾
1年中点灯、観光スポットに

 宇検村の屋鈍集落内に観光農園&ガーデンが誕生した。村の企画提案事業を利用し助成を受けて、任意団体「屋鈍をお花と光で盛りあげ隊」(村上真唯=まい=代表)が整備。季節の花や野菜、果物、ハーブなどを植えるとともに、ソーラーパネルを設置して約2万球のイルミネーションを飾り昨年末から点灯。「花」と「光」のイリュージョン(幻想)で集落を明るく照らし出し、新たな観光スポットになっている。

 村上さん(34)は栃木県足利市出身。4年前に移住してきた。「屋鈍は、集落の目の前に広がる海のグラデーションが鮮やかで、砂浜も白に近くとてもきれい。心が洗われ、研ぎ澄まされるようで創作活動に適している」。村上さんは海の生き物など奄美の自然をモチーフにアート化し、手作りしたアクセサリーやキーホルダーなど土産品を製造販売している。

 「コロナ禍で寂しい地域を、たくさんのお花とイルミネーションで人々の心を明るくしたい」を活動目的に昨年10月任意団体を設立。集落にある民宿シーサイドハウスのオーナー夫妻(富春治さん、江都子さん)が提供した土地約990平方㍍を「yadon観光農園&ガーデン」と名付け、昨年12月に土づくりや環境整備を開始した。

 村上さんによると、現在植えている野菜・果物はジャガイモ、ダイコン、ブロッコリー、タンカン、ドラゴンフルーツ、バナナ、ドリアン、ハーブ各種など。花はバラ、アマリリス、パンジーなどの小花で、今後、春から四季折々に咲く花を植える予定という。収穫した産物を来訪者に提供(食事)も目指す。全体のプロデュース、イルミネーションの管理は村上さんだが、土地を提供した富さん夫妻のうち、農園の植物・果物の管理を春治さん、ガーデンの花の管理を江都子さんが担当している。

 イルミネーションは昨年12月20日に点灯式を行った。観光農園&ガーデンをメインに、シーサイドハウス、サンタクロースの家(村営住宅)、ガジュマルの木と4カ所をイルミネーションで装飾。集落内4カ所を巡る散策コースが完成した。イルミネーションの中には「平和の壁」と題したモニュメントもある。「垣根のない世の中であってほしい。垣根を超えることができたら偏見や差別、争いなどもなくなる」という村上さんの願いを込めている。

 点灯時間は日没後から明け方までだが、天候条件に左右される。太陽の光が電源のため、曇りや雨だと明かりが弱いという。村上さんは「星降る村のイルミネーションを集落のみなさんが、とても喜んでいただいている。また、島内各地から毎日のように3~5組ほどの来訪があり、規模の大きさに驚く人が多い」と語る。点灯は1年中で、2月は「バレンタインイルミネーション」、3~4月「春のイルミネーション」、5~10月「夏のイルミネーション」、10月末~2月「秋冬のイルミネーション」とそれぞれ変化が楽しめるよう工夫を凝らしていく。