国史跡・宇宿貝塚 保存・活用・整備へ策定委

計画書案を概ね承認した「宇宿貝塚保存活用計画策定委員会」

「計画書案」概ね承認
新年度運用開始

 奄美市笠利町の国指定史跡「宇宿貝塚史跡」の適切な保存・活用・整備に向けての基本方針をまとめる文化庁補助事業「同計画策定委員会」(市教育委員会主催)の第3回会合が27日、奄美市名瀬の市民交流センターであった。委員らは、会で出された意見を盛り込んだ「保存活用計画書」(案)を概ね承認。事業は2027年度までの5年間を「短期計画」、28年度以降を「中長期計画」と位置付け、23年度から運用を始める。

 宇宿貝塚は、縄文時代後期・晩期を中心とした遺跡で1933年に発見。86年に奄美群島初の国史跡指定を受け、2003年に覆屋施設を整備し「同史跡公園」として一般公開。19年の歳月を経て施設の老朽化が進んだことに加え、保存・活用・整備の指針がないことなども課題になっていた。

 委員は同文化財課職員を始め、考古学の専門家や地元関係者ら24人で21年に組織(事務局含む)。視察や調査、会合を重ね計画書策定を進めてきた。

 計画書は、基本情報や史跡価値などの情報のほか、保存・活用・整備への方向性を示す全10章で構成。未来への恒久的な保存や次世代への継承を目的に、地域や観光での振興、教育分野での活用指針なども盛り込んだ。

 会合では、國學院大學研究開発推進機構の池田榮史教授が案内役を務め、修正案などを議題に委員らが協議した。「点検項目と実施計画の整合性をもっと図るべき」といった意見は出たものの案を概ね了承。運用に向けては県教育庁埋蔵文化財課・馬籠亮道文化財主事が「重要なのは情報発信。まずは地域の人に知ってもらうことが必要だ」などと呼び掛けた。

 今後は加筆修正後に文化庁へ報告書を提出し、新年度から運用開始。23年度は市職員を中心とした「史跡保存活用委員会(仮)」を立ち上げ、具体的な実施計画策定に取り組む。

 なお、今月16~25日に行われたパブリックコメントでは市民など4人24件の意見が寄せられた。