登録効果最大化へ提言

安田市長に、動植物の保護管理計画の策定や法定外目的税の導入などについて提言した世界自然遺産プラットフォームの会議の須山教授

奄美市に 法定外目的税検討など11項目 世界遺産プラットフォーム
希少種の保護管理やノラ猫対策も

奄美市の公民連携会議「世界自然遺産プラットフォーム」(座長=須山聡・駒沢大学教授、14人)は2日、会議で議論した成果などをまとめた「世界自然遺産登録効果を最大化するための提言」を安田壮平市長に提出した。盗難・盗掘された動植物の保護・押収後の保護管理計画の策定や法定外目的税導入の検討委員会設置、ノラ猫などの保護譲渡体制の構築―など、11項目について、それぞれの目的や課題と解決に向けた事業概要などをまとめた。

同会議は、奄美大島が世界自然遺産に登録されたことによる効果を最大化することを目的に設立。5月29日の第1回会議を皮切りに、産業、自然、文化、芸能に関する有識者や一般公募の市民代表らが議論を重ねてきた。これまでに計6回の会議を行ったほか、議論のテーマごとに分科会を設置し、具体策などについて話し合った。

提言された11項目は、①記念碑の建立②世界自然遺産推進事業関連のまとめ③世界自然遺産登録ガイドブック作成④啓発活動の人材(講師)育成⑤保護活動への補助・助成及び支援・表彰⑥登録に至るまでの自然保護と開発事業(行為)に関する歴史⑦盗難・盗掘等違法行為で保護・押収された動植物及び疾病・傷病鳥獣類の保護管理計画⑧神屋タンギョと住用川流域資源の活用⑨統一デザインの案内、標識など各種サイン計画の策定⑩法廷外目的税導入の検討委員会設置⑪ノラ猫・飼い猫の保護譲渡体制の構築。

この日は、同会議のメンバー6人が市役所を訪れ、安田市長に提言内容などを説明、世界自然遺産の保護と活用に向けた今後の取り組みなどを要望。提言のほか、食文化や芸能文化における「アマチュアリズム」、外来種などの継続したモニタリング調査、環境省や県、関係自治体と連携した野生生物の島外持ち出し対策の検討―などについても、今後の継続した議論を求めた。

座長を務めた須山教授は「観光客を増やすことを目指すのではなく、島の自然環境を生かしながら、持続可能な開発を目指す方向性を示した。子どもたちが島の自然や文化の理解を深める活動も進めてほしい」などと話した。

提言を受け、安田市長は「多様な意見をまとめていただき感謝したい。自然環境をしっかり保全、保護しなければ活用もできない。新年度からの事業に盛り込み、世界自然遺産効果が発揮できるよう取り組んでいきたい」とした。

同会議は現メンバーでの活動を3月で終了するが、新年度以降も新体制で世界自然遺産の有効活用などについて議論を継続することにしている。