市道三太郎線周辺の夜間利用ルールを周知する取り組み(資料写真)
環境省奄美群島国立公園管理事務所(阿部愼太郎所長)は3日、奄美市住用町にある市道三太郎線周辺の2022年度年末年始(22年12月27日~23年1月9日)実証実験の結果(速報値)を発表した。実証実験としては昨年9月のシルバーウイークに続き2回目。期間全体の利用状況で今回の予約率は88・3%、予約なしの利用は11・7%となり、いずれも9月の状況と同程度となった。
同線周辺はアマミノクロウサギなど希少な生き物が多く観察できることから、ナイトツアーの人気スポットとなっている。ツアーの増加に伴い21年10月に車両規制が導入された。世界自然遺産登録に伴う来訪者の増加を見据えて希少動物のロードキル(交通事故死)や車の追い越しをめぐるトラブルが増えるのを防ごうと、官民の関係機関でつくる夜間利用適正化連絡会議が試行的に導入した。
今年度2回目の実証実験は年末年始の14日間行い、地元枠(住民専用)の設定および予約1件あたりの利用台数の変更(1枠2台)による効果など検証。実証実験期間中の夜間利用ルールの適用時間は午後5時~翌午前7時とした。
同事務所によると、調査期間中に合計179台の利用があり、このうち予約158台、未予約21台。実証実験当初の27~29日は100%の予約率だったが、徐々に予約なしが増え始め元日の1月1日は最多の33・3%に上昇した。元日以外の正月三が日の未予約率は2日13・3%、3日16・7%と推移した。
期間中の5日~9日は午後6時~9時まで事務局および連絡会議構成団体(世界自然遺産推進共同体、奄美野鳥の会、奄美大島エコツアーガイド連絡協議会)が立ち会い、三太郎線に向かう車両に停車を求め、予約の有無など確認。初日の5日は100%の予約率だったが、翌6日には予約なしが27・3%に達した。その後は7日5・6%、8日11・8%の予約なし割合となり、最終日の9日は予約割合100%となった。この間、予約なしの車両には「予約をしてからの利用か通行自粛」を依頼したという。
三太郎線以外では石原栄間線の利用28台、スタル俣線の利用10台を確認。また地元枠は14日間で10件(利用率約70%)の利用があり、9月実証実験期間(1件)よりも大きく増えた。1枠2台利用は3件(6台)にとどまり、9月(11件22台)より少なかった。
なお、9月の実証実験の実績は期間中に合計109台の利用があり、予約利用95台(87・2%)、予約なし14台(12・8%)だった。
今回年末年始の実証実験結果について、同事務所の山根篤大・国立公園保護管理企画官は「予約なしの状況は通年傾向と同じ割合で、普段島内にいない帰省者や観光客に夜間利用ルールの認知・周知を図る取り組みが引き続き課題。1月1日の予約なし割合が最多となったのは、利用台数が18台と期間中で最も多かった関係もある」と述べ、地元枠の利用が伸びたことについては「需要があることが確認された」と受け止めている。
環境省では実証実験の結果を踏まえた今後の方針について、今年度内に開催予定の夜間利用適正化連絡会議で検討する予定。夜間利用ルールの実効性を高めていくためさまざまな角度から議論していく。