知事と与論町民が対話

塩田知事と町民15人が意見を交わした「ふれあい対話」=与論町地域福祉センター=

港湾対策や人材育成支援求める 高校生へエールも 

【沖永良部】塩田康一知事が県民と意見交換する「知事とのふれあい対話」が4日、与論町地域福祉センターであった。町内の農業や漁業、観光などの各団体から推薦5人と公募10人の合計15人が参加。人材育成や港湾整備、物価高による輸送コストの高騰などの問題について意見や要望が出た。

ふれあい対話は、塩田知事のマニフェストの一つ。与論町で県内35市町村目。この日は町民約60人が傍聴した。

港湾問題については複数の参加者が質問。「抜港が続き、納期内納品ができない」「定期船が抜港になり魚を出荷できない」「最近は定期船の欠航、抜港が多く、物資が途絶え枯渇することがある」などと訴え、対策を求めた。塩田知事は「静穏度を守れるような堤防を作れるかどうかを含め検討している」「冷蔵冷凍設備による対策などで抜港時のリスクを軽減する取り組みも考えたい」と述べた。

スーパーを経営する男性は「物価高で運賃も高くなっている。与論島が最も影響を受けている」と指摘。塩田知事「コストの問題は離島で暮らしていると避けては通れない。対策として沖縄との連携などいろいろな可能性がある」とした。

島内で学習塾と訪問看護ステーションを経営しながら、起業家の育成に取り組む女性は「島の中学生や高校生が、短期留学や大学見学などで島を出て活動する体験を用意したい。奄美群島や県内の離島全体でプロジェクト化できないか」と要望。塩田知事は「島に貢献するために何を勉強するのか目的意識を持って島を出ていくと、帰ってくる人も多くなるだろう。関係部署でアイデアを募りながら検討していきたい」と述べた。

参加者唯一の高校生、永野海璃さん(与論高校2年・17)は「高校に入学し、自分が刺激を受けることが少ないと感じている。大学進学で島を出るまでに、与論の若者が主体となって島を盛り上げるアイデアを企画立案する同好会を作ろうと思う」と決意を発表した。塩田知事は「島のことを考え、何とかしたいという思いを持つのは素晴らしい。島を支えていってほしい」とエールを送った。

このほか、ヨロンパナウル王国40周年を記念した県道へのヤシの木の植栽、南西諸島の航空医療体制の整備、農業普及指導員の常駐、牛舎の悪臭対策、経産牛のブランド化の支援、ウミガメの生態調査などを求める意見があった。