「石垣とガジュマルの里~島っ子ガイド・ふり茶体験」

阿権小「島っ子ガイド」らの案内と、「ふり茶」伝承者・平陽子さんを講師に〝親睦の味〟も体験した=5日、伊仙町

古来の〝親睦のお茶〟体験も
「素朴でまろやか」
伊仙町が主催

 【徳之島】伊仙町阿権集落の魅力を探る「石垣とガジュマルの里~島っ子ガイド・ふり茶体験」(町きゅらまち観光課主催)が5日あった。老若男女の住民ら約20人が応募参加。阿権小3~6年生の「島っ子ガイド」8人の案内で集落の魅力を訪ね、伝統の素朴な泡立て茶「ふり茶」(町指定文化財)も五感で体験した。

 豊かな自然と多様な文化が色濃く残る阿権集落。総合的な学習の時間を通じて約7年間続く阿権小児童ら「島っ子ガイド」の案内と、町文化財の「ふり茶」体験で自然・文化の価値や魅力を訪ね、保全意識を広く醸成するのが目的。

 「ふり茶」体験は、町が寄贈を受けて再整備した旧家の古民家「前里屋敷」(カフェまえざと)であった。

 「ふり茶」(方言呼称・ふぃーちゃ)は沖縄では「ブクブク茶」、全国的には「振茶」とも呼ばれる。玄米茶にお湯を注いで約10分間待って茶桶に注ぎ、茶筅(せん)できめの細かい泡が立つまで丹念にかき混ぜて湯飲みへ。

 伊仙町内では、長寿世界一だった泉重千代さんと北郷かまとさんも、ミネラル分が豊富で硬度の高い地元の水を使って愛飲していたと伝えられる。

 講師は同伝承者の平陽子さん(72)=同町阿権=が務めた。参加者たちに「町文化財に指定されたことで、奄美群島ではここ(伊仙町)にしか伝承されていないふり茶を知って、親睦を図ってください。これは、接待のお茶ではなく〝親睦のお茶〟です」とも強調。参加者たちは平さんの手ほどきで自ら泡立てて試飲。きずなを育むまろやかな伝統の風味を味わった。

 大阪から同町にIターンして丸1年という阿部哲博さん(50)=福祉事業所管理者=は「昔の方々の文化に触れながら、口にできるということは、昔も今もつながっていると実感。素朴でまろやかで口当たりがいい。親睦を深めるお茶ということが分かります」と納得。

 集落探訪では、阿権小を発着点にほか「阿権浜しぜん館」、名物の石垣群、原生的自然が広がる阿権渓谷、「300年ガジュマル」など8カ所を訪問。

 「島っ子ガイド」の1人・本田奏音(かのん)さん(5年生)は「阿権は自然も豊かで自慢できる所が多い。地域人たちも笑顔で話しかけてくれる。阿権の素晴らしさをほかの地域の方々にも知ってほしいです」と笑顔を輝かせた。