群島タンカン品評会審査結果

L・2L階級で上位入賞となった金・銀・銅賞の受賞タンカン

金賞、L西田さん(笠利町)・2L玉野さん(大和村)連覇
厳しい気象条件 管理技術・工夫で克服

 2022年度奄美群島タンカン品評会(奄美群島農政推進協議会、JAあまみ主催)の審査結果が8日、発表された。階級ごとに金・銀・銅賞(各1点ずつ)が選出され、最高の金賞はL階級が西田昭仁さん(奄美市笠利町)、2L階級は玉野公和さん(大和村)が受賞、玉野さんは前年度に続いて2連覇の快挙となった。高温や日照不足、寒波による急激な気温低下など厳しい気象条件にあるが、品評会出品の上位入賞者は管理技術や工夫によって乗り越える取り組みが評価された。

 前年度を2点上回る60点の出品があったが、市町村別は奄美市14点(L・2L7ずつ)、大和村11点(L6、2L5)、宇検村2点(L・2L1ずつ)、瀬戸内町7点(L3、2L4)、龍郷町3点(L1、2L2)、喜界町1点(2L1)、徳之島町18点(L・2L9ずつ
)、伊仙町4点(L・2L2ずつ)。

 各階級別の糖度(平均・最高)と酸度(平均)をみると、L=平均11・4度(前年度12・3度)、酸度0・98%(同1・07%)、最高が糖度12・5度(同13・5度)▽2L=平均11・1度(同11・9度)、酸度0・93%(同1・02%)、最高が糖度12・1度(同13・3度)―となり、前年度に比べ酸切れが早い傾向にある。

 会場となった奄美市農業研究センターでは結果発表後、3年ぶりの表彰式が開催されたが、タンカン集出荷の最盛期ということもあり受賞者本人の出席はわずかにとどまった。審査講評で審査委員長を務めた県農業開発総合センター大島支場の尾松直志支場長は「年末から年始にかけて非常に気温が高く推移し年明け以降は一気に気温が下がり、気象的に非常に作りにくい(酸切れが早く糖度がのりにくく着色がなかなか進まない)条件だった。仕上がりが心配されたが、出品された品物は平均糖度が11度を超え予想よりも高く、糖と酸のバランスのいいものが数多く出されている」と指摘し、上位入賞者については「厳しい気象条件を乗り越えるため、樹種を管理する摘果、傷がつかないようにする防風対策といった基本的な作業を入念にしている」と評価した。県大島支庁農政普及課の川越尚樹課長も励ましの言葉の中で管理技術に触れ、「生産量だけでなく品質も日本一になるよう期待している」と述べた。

 L階級で金賞の西田さん(58)はこれまでも金賞を受賞するなど上位入賞の常連。22年度産「奄美たんかんはさみ入れ式」が行われた農園は笠利町和野の高台にあり、東海岸からの海風により台風時は塩害に遭うこともあるが、イヌマキやアデクを園周辺に植栽することで防風対策を徹底。管理技術として西田さんは「枝の重なりを防ぐなど剪定=せんてい=をうまくやることと、豊作時には思い切った摘果をすることでならし過ぎを防ぐなど樹勢を低下させない取り組み」を挙げた。

 寒暖の差が大きいことからタンカン栽培の適地とされる福元地区に果樹園がある玉野さん(68)。今年度の生産では冬場の日照不足を補う取り組みを工夫。整備している防風垣の樹木の高さの調整で日当たりを良くし、外観の色のりなど向上させた。また、水はけを良くするため傾斜も設けている。玉野さんは「果実がなり過ぎた木では落葉が見られた。園の状態を見て適切に管理することで生産を安定させ、品質を向上できる」と語った。

 金賞以外の審査結果(受賞者)は次の通り(敬称略)。

 【L階級】銀賞=松本幸徳(徳之島町)▽銅賞=大海昌平(大和村)

 【2L階級】銀賞=藤村秀久(大和村)▽銅賞=西田昭仁(奄美市)

 【審査員特別賞】是枝純一(徳之島町)

 【奨励賞】金城良洋(奄美市)