伝統のカヤ葺き替え始まる

束ねたカヤを葺き込んでいく中村博志さん(右)

りゅうがく館前の高倉
龍郷町、佐渡から職人も参加

 龍郷町のりゅうがく館前にある高倉のカヤの葺き替えが始まった。今回葺き替えられるのは、国の登録有形文化財となっている3棟のうちの1棟。歴史的建造物を伝統工法にのっとって修復し、文化を後世に残すため、8年前から順次実施している。

 作業にあたっているのは同町大勝で工務店を営み、日本茅葺き文化協会員でもある中村博志さん(58)と職人の辺木奎さん(22)。今回は、新潟県佐渡島在住で全国の茅葺き現場に赴くという古舘雄流さん(26)も加わった。材料となるマカヤやススキの調達に苦労したと言い、同町や奄美市笠利町の休耕田などを探し、許可をもらって採集している。 
 
 中村さんは、「夏草は水分が多くて使えない。10月から刈り始め、年末までにようやく800束(マカヤ400束、ススキ400束)のまとまった量がそろった。荒天が続いたため古カヤの撤去も最近になった」と苦労を話していた。

 古舘さんは、佐渡の「伝統文化と環境福祉の専門学校」で宮大工を目指し学んだが、茅葺き文化に引かれ茅葺き職人の道を選んだ。現在は、全国を飛び回る生活を送っているという。「佐渡島内は民家の納屋、寺のお堂、能舞台など50棟くらい茅葺きの建物がある。初めは(佐渡の)親方について技術を学んだ。今は、全国で仕事をしているが各地で葺き方がまるで違う」と語る。

 昨年末、沖縄で茅葺き協会のワークショップが開かれた際、中村さんと出会い「学ばせてほしい」と頼んだという。古舘さんは、「高倉のてっぺん〝棟〟のこしらえは佐渡のものと似ている」話した。

 町教委によると、今回の高倉葺き替えは町単独事業で予算は158万7850円。工期は3月末。