県23年度当初予算案

2・3%増の8894億9600万円
6年連続プラス デジタル化、脱炭素、子育て推進
沖永良部で再エネ活用実証事業

 県の2023年度当初予算案が10日発表され、一般会計は前年度当初比2・3%増の8894億9600万円、特別会計は同2・4%減の3960億5500万円となった。一般会計のプラス編成は6年連続。新型コロナウイルス感染症は引き続き医療提供体制の確保と感染防止対策などに取り組み、物価高騰による影響を緩和するための対応を機動的に実施、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確立する。当初予算案と22年度補正予算案などは20日開会の県議会3月定例会に提案する。

 新年度施策の大きな柱として掲げているのが、①基幹産業(農林水産業、観光関連産業)の「稼ぐ力」の向上②企業の「稼ぐ力」の向上③デジタルテクノロジーを活用した県民の暮らしの質の向上④脱炭素社会の実現と豊かな自然の共生⑤移住・交流の促進 地域産業の振興を支える人材の確保・育成⑥結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなう社会の実現⑦地域を愛し世界に通用する人材の育成、文化・スポーツの振興⑧多様で魅力ある奄美・離島の振興―の八点。

 一般会計の歳入をみると、県税が前年度当初比0・3%増で過去最高となる1581億5600万円。実質的な地方交付税(地方交付税+臨時財政対策債)は1・8%減の2836億4500万円。新型コロナや経済対策などの国庫支出金は4・0%増の2094億6500万円。借金である県債は11・3%減と大幅に減少し669億7900万円、臨時財政対策債を除くと0・3%減の611億300万円となった。県債などを含む依存財源は5868億8800万円で、全体に占める割合は66・0%となり、依存割合は前年度(67・2%)とほぼ同じ。一方、自主財源は3026億800万円で、全体に占める割合は34・0%と3割強にとどまっている。

 歳出(性質別)をみると、人件費は前年度比2・6%減の2235億6600万円で、全体の25・1%と3割近くを占め最多。社会保障関係の扶助費は2・4%増の1395億5800万円。公債費は6・7%減の1121億7300万円。経済対策の役割もある普通建設事業費(補助事業と県単独事業の計)は2・2%増の1403億6900万円となった。

 新型コロナ関係で医療提供体制の確保、感染拡大防止対策は当初予算の590・4億円だけでなく、3月補正でも60・8億円を計上。自宅療養者の相談対応、空床確保に要する費用支援、軽症者や無症状者が療養するための宿泊施設の確保・運営も引き続き行う。感染防止対策はワクチン接種体制確保、PCRなど検査無料化、介護サービス事業所等に対するサービス継続支援の各事業が引き続き進められる。

 デジタル化は産業では新規にデジタルツール等を活用した海外販路拡大事業、脱炭素は再生可能エネルギーを活用した地域づくりで新規に離島(沖永良部島で)における電動モビリティ再生エネ活用実証事業(太陽光発電設備、蓄電池を活用したEVバイク充電ステーション実証に向けた可能性調査)、子育て推進は新規に医療的ケア児支援センター事業や新たな子育て家庭支援の基盤を早急に整備していくための支援事業などに取り組む。