クロウサギ「混獲」死を陳謝

徳之島町林道「山クビリ線」に特化して協議した徳之島利用適正化連絡会=10日、徳之島町役場

環境省、徳之島町山クビリ線で
徳之島利用適正化連絡会

 【徳之島】世界自然遺産地域の環境保全や活用に関する2022年度「徳之島利用適正化連絡会議」(県主催)が10日、3年ぶりの対面式で徳之島町役場であった。ゲート施錠して認定ガイド同行などを義務付けて4年目の同町北部の林道「山クビリ線」の利用状況などを確認。住民側からは規制緩和の要望も。環境省は同林道に放置したノネコ捕獲用のわなによるアマミノクロウサギ2匹の「混獲」死を陳謝した。

 天城岳山系の中腹部をぬって走る林道「山クビリ線」(延長約12㌔)。奄美群島国立公園特別保護地区が含まれ、希少野生生物の交通事故や盗掘・盗採などを理由に2019年7月、進入口3カ所のゲートを施錠。一般利用には認定エコツアーガイドの同行(有料)を義務付けている。

 同利用適正化連絡会には、県の奄美世界自然遺産室や環境省、林野庁、徳之島3町、同島エコツーリズムス推進協議会、同林道関係集落代表など26人が出席。林道「山クビリ線」に特化して利用状況(21年7月~22年10月は災害で通り抜け不能)、同利用ルールの運用状況、同ルールの修正(文言の整理)など報告を承認した。

 質疑では、地元の山(さん)集落代表からは「希少動植物の保護を訴えているが、夜間のエコツアーガイドや調査に車両で通行することは逆に生態系を壊すことにならないか」。また住民に「展望台」と古来親しまれた広場が特別保護地区に編入され、高齢者クラブなどが気軽に立ち入れなくなった悩みも挙げ、指定エリア見直しを打診。

 町当局などは1日の進入車両制限(5~10月3台、11~4月4台)など「認定ガイドの厳しいルールで実施」。特別保護地区など見直しに環境省徳之島管理官事務所側は厳しいとの見解を示した。

 ほか、クロウサギ生息数の増加・出没エリア拡大に伴うサトウキビ新芽や枯死原因になるタンカン樹食害など被害には「クロウサギも農家も守る(被害補償など)予算化も必要」など意見も相次いだ。

 環境省管理官は、民間団体に業務委託しているノネコ捕獲用の箱わなに国の特別天然記念物アマミノクロウサギ2匹が「混獲」され死後1カ月以上経っていた問題に、「基本的にはわなを設置した時は毎日見回りをしている。扉を閉めて放置したが、実際にクロウサギが入ってしまった」など釈明。「わなに掛かりにくい個体トラップシャイが非常に増えている中、非常に残念。大変申し訳なく思っている」などと陳謝した。