果実など残渣使い商品へ

残渣を活用した商品開発の拠点となる建設中の加工棟とジェラート・ハーブティー(提供写真)

日本公庫 加工棟建設、農地取得支援

就労支援事業所(就労継続支援B型、復職支援)あまみんを運営し、農福連携や六次産業化に取り組む㈱リーフエッヂ(田中基次代表)=龍郷町大勝=は、余剰作物や食品加工で発生する果物などの残渣=ざんさ=を活用した商品づくりに乗り出している。商品開発の拠点となる加工棟を建設中で、野菜など作物生産のための農地取得含めて取り組みを日本政策金融公庫が支援している。

農福連携、六次産業化事業所

同社では、農業部門を強化するため、㈱あまみあぐり(農業法人)も設立している。同公庫鹿児島支店によると、事業にかかわる資金として青年等就農資金、経営体育成強化資金を融資して支援した。新たな事業として進められているのが、芳香蒸留水事業とハーブティー事業。

このうち芳香蒸留水について、同支店(農林水産事業)は「既存製品のジェラートを製造する過程で発生する、果実の残渣を有効活用できないかと悩んだ末、考案された商品。SDGsの目標12『作る責任、使う責任』を体現した事業」と評価する。現在、来島予定の大学生(インターンシップ)と共に、商品化に向けて取り組み中という。

代表の田中さん(48)によると、敷地内に隣接する場所に建設中の加工棟は今月中には完成予定。8畳の広さの部屋を3室、水洗いなどの作業をする屋根のみのスペースも別に確保している。蒸留器を導入しての蒸留、食品乾燥などをそれぞれの部屋で行うが、果物やハーブなどの残渣を用いての商品は芳香蒸留水のほか、エッセンシャルオイル(精油)を計画している。

「福祉としてだけでなく、農業として、商品としても地域に認められるような事業展開を目指し、一歩一歩着実に積み重ねていきたい」と田中さん。将来的には加工残渣の堆肥化にも取り組み、循環型の有機栽培で島内食料自給率を高めていきたいという目標もある。

残渣活用での商品開発のほか、農地取得も支援の対象となった。田中さんによると、現在の地主が農地を手放さずに亡くなると、ほとんどが耕作放棄地になり、権利者をまとめることができなければ農地として再生できない耕作放棄地のままとなってしまう。そこで高齢農家の事業承継を農福連携で取り組めないか思案中で、相続問題が発生せず耕作できる農地の情報を求めており、農業委員会など市町村の理解も鍵となりそう。