やさしい認知症ケア「ユマニチュード」とは?

それぞれの活動内容を話し合う参加者ら

奄美高齢者福祉課結ともメンバー交流会

奄美市高齢者福祉課は11日、認知症高齢者などの見守りボランティア「結とも」メンバーの交流会を開いた。普段、地域ごとに活動する人を一堂に集め情報交換を行い、新たな認知症ケア「ユマニチュード」での対応法を学んだ。

関係者15人が参加した交流会は、やさしい認知症ケアとして注目されているユマニチュードの勉強会で始まった。講師を務めたのは、「認知症の人と家族と支援者の会(ま~じんま)」代表世話人、屋ます江さん。

ユマニチュードはフランス生まれのケア法で、「見つめる、話す、触れる」の3原則に基づいている。遠くから話しかけたり、いきなり触れたりするのではなく、「まず相手の視界に入り、目を見つめ、やさしいトーンで話しかける」「体に触れる時は手のひら全体でなでるように」「1日20分以上立たせることも大事」だと説明した。NHK厚生文化事業団が制作したミニドラマも放映され、食事を拒否する父親へのユマニチュードの考え方による対応などが紹介された。

父親の介護で苦労したという椿鈴子さん(74)は、「勤めていた病院で学んだこととはまるで違う。当時この技術を知っていれば違った介護ができたはず」と語った。

見守っている80代女性から電話があると深夜でも駆けつけるという皆田幸一さん(71)は、「この考え方で対応するのは私には難しいかもしれない」と正直な胸の内を吐露していた。

結とも活動とは、ボランティア養成講座を修了した人が、地域の高齢者の見守りや話し相手などを行うもの。 夜になっても電気がついていない、あいさつをしても返事がないなど、日常の小さな変化を見つけ、専門職や地域包括支援センターなどに相談する役割も担う。

現在、結ともとして登録しているのは27人。しかし、仕事を持つ人も多く、実際に活動しているのは11人に過ぎない。名瀬地域包括支援センターの重山沙生さんと且理恵子さんは、「活動に参加してもらえる人を増やしたい。月に1回でも参加してもらえたらありがたい」「住み慣れた地域で安心して生活できる奄美をつくりたい」と語った。