「救急救命技術研修会」

多くの関係者が見守るなか、シミュレーション訓練に挑む救急隊員たち

的確な判断、迅速処置へ
3消防組合 救急隊、医師と連携し訓練

2022年度「大島地域MC救急救命技術研修会」が15日、奄美市名瀬の大島地区消防組合会議室であった。奄美群島3地区の消防組合救急隊らが、現場を想定して高度に取り組む「シミュレーション訓練」に挑戦。隊員らはさまざまな状況を想定し、医師と連携を図りながら患者の処置や搬送などの対応を確認した。

訓練は、救急隊員が現場で求められる的確な状況判断や迅速な救護処置、情報共有などへの対応力を高めることが目的。大島、徳之島、沖永良部与論3地区消防組合の救急隊員を中心に、県立大島病院救急救命センターの医師ら約55人が参加した。

訓練では「呼吸困難」「意識障害」「外傷」の3事案を想定。事前に具体的な訓練内容を明かさず、隊員らは想定に沿って必要な資機材を準備。3地区を代表する各隊がそれぞれのシナリオに挑んだ。

沖永良部与論地区広域事務組合は「呼吸困難」との一報を受け、分隊長、機関員、隊員の3人が出動した。現場では患者に容体を聞き取り、バイタル検査を行うなど症状を診断。病院搬送中の救急車内では医師に状態を報告し、酸素投与などの特定行為について指示を仰いだ。

訓練後は、救急救命士らも加わり全員参加で意見を交換。状況判断や統率力、処置の対応などについて検証し、医師らも症状の見極め方などで助言した。

訓練を見守った中村健太郎・同センター長は「リアルな活動に熱い思いを感じた。活動の先にある医療についても心新たにできた」と講評。今後は「検証などを通じてコミュニケーションを取りながら、互いにいい方向へつなげていければいい」と呼び掛けた。

なお研修会は、医学的観点から救急隊員による応急処置の質を保証する「メディカルコントロール」体制の構築を進める大島地域MC協議会が主催。会場での顔をつき合わせた訓練は今年が初めてで、来年は徳之島地区消防組合での開催を予定している。