工事再開、早期完成を

会見で声明を発表する「嘉徳集落住民・出身者一同」代表者たち

嘉徳海岸護岸工事 住民訴訟判決、請求棄却
鎌田町長、県へ要望書提出 集落住民代表、声明も

 瀬戸内町嘉徳海岸で県が進める浸食対策工事を巡り、鎌田愛人瀬戸内町長は17日、奄美市名瀬の県大島支庁を訪れ、塩田康一知事に宛てた早期の「工事再開」などを求める要望書を提出した。これに合わせて嘉徳集落に在住する住民らでつくる「嘉徳集落住民・出身者一同」(代表・徳田博也区長)が「早期完成」を願う声明を発表。中断が続く工事の一刻も早い再開を訴えた。

 要望書は、前日16日に同住民・出身者一同からの提出を受けて鎌田町長が進達。前日の要望書と併せて、島内外で暮らす同集落出身者などから集めた7270筆の署名(2月15日現在)を添付。新川康枝支庁長に手渡した。

 会見した鎌田町長は「昨年10月、心待ちにしていた仮設道路工事に着手し再開したがその後の進展がない」と主張。近年の台風が大型傾向にあるなど「安心して暮らすためには、早期再開が必要だ」との見解を示した。

 提出後の声明発表では、元愛子さん(63)、栄茂男さん(73)、徳波りん子さん(67)の3人が工事再開を願う集落住民らを代表して会見に臨んだ。3人は「2014年の度重なる台風襲来以降、住民らは危険にさらされている」と述べ、「私たちの命とお墓、土地を守るためにお願いしている工事。平和と安心をもたらすためのお願いをかなえてほしい」とする声明を発表。署名では集落に住民票がある住民19中15人が名前を記入しており、「反対のために移住した住民もおり嘉徳住民全員が反対しているとの誤解も広まっている。争いのない昔の静かで美しい嘉徳に戻ることを切に願っている」と訴えた。

 同支庁瀬戸内事務所建設課によると、現在発注している2工区の工事契約(フェンス設置、資機材管理など)については、3月末までに完成の目途が立たないためいったん契約は終了。再度、予算を計上した上で再契約する予定だという。

 なお、同日に行われた「護岸工事公金支出差し止め等請求」の住民訴訟の判決では、鹿児島地裁は請求を棄却。同事務所は「主張が認められ安堵=あんど=している。安心安全の整備を進めていきたい」とした。