3月定例県議会開会塩田知事が施政方針

奄振法延長、支援措置充実へ 「5類」変更円滑化へ国注視し必要な準備

3月定例県議会は20日開会、会期は3月17日までの26日間。初日の本会議では2022年度一般会計補正予算(168億3500万円追加、総額9589億8100万円)、23年度一般会計当初予算(総額8894億9600万円)、条例改正など議案61件と専決処分1件を提案。施政方針および予算説明で塩田康一知事は、奄美関係では23年度末(24年3月末)に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)について、法延長実現と支援措置充実に向け国に働きかける決意を示した。

新たなキャッチコピー「南の宝箱 鹿児島」

奄振法延長に向けては今年度総合調査を実施、その報告書案について現在、パブリックコメント(意見公募)を実施している。知事は「今後、県議会において改めて議論いただいた上で報告書として取りまとめ、国の審議会に提出することとしている」と説明し、県議会や県選出国会議員、地元市町村と一体となって取り組むとした。

今年は1953年12月25日の奄美群島の日本復帰から70周年の節目。知事は地元市町村や関係団体と一体となって、記念式典の開催など復帰70周年の記念事業を実施するとした。

これまで搬送を担ってきた鹿屋航空分遣隊が先月廃止された中、自衛隊による離島からの急患搬送について知事が説明。「防衛省本省への要望や自衛隊の関係部隊等との協議を重ねてきたところであり、仮通報制度の導入による出動時間の短縮を図るとともに、十島村の一部について本土への搬送より早い沖縄への搬送手段を新たに確保するなど熊本、宮崎、沖縄、鹿児島の自衛隊等が連携して従来の搬送体制と同等の実効性のある体制を構築した」と述べた。

新型コロナウイルス感染症関係では感染症法上の位置づけについて先月27日、季節性インフルエンザと同じ「5類感染症」に5月8日から変更する方針が示された。知事は「現在、国において、これまで講じてきた各種の政策・措置の見直しについて検討が進められており、来月上旬を目途に、患者等への対応や医療提供体制についての具体的な方針が示される」と報告。より多くの医療機関で患者などの診療を行える体制の構築や公費負担の取り扱いなど県民や保健医療の現場に混乱が生じることなく、変更を円滑に実現する必要があるとして「全国知事会を通じ国において丁寧に検討していただくよう要望している。今後、国の動向等を注視しながら必要な準備を進めたい」と述べた。

知事はこうした新型コロナ対策や物価高騰への対応などに取り組みながら、▽基幹産業である農林水産業、観光関連産業など鹿児島の「稼ぐ力」の向上▽デジタル社会や脱炭素社会の実現▽地域や各種産業を支える人材の確保・育成、結婚・出産・子育てしやすい環境の整備―など「かごしま未来創造ビジョン」に掲げた各般の施策に積極的に取り組む―考えを強調した。

昨年12月に「鹿児島PR基本戦略」を策定した中、併せて決定する新たなキャッチコピーについて候補案を公募するとともに、県議会や市町村からの意見も踏まえ検討してきたと説明。知事は「本県は、三つの世界遺産や和牛日本一に輝いた鹿児島黒牛をはじめとする世界に誇れる食や優れた県産品の数々のほか、個性ある歴史や文化など魅力的な資源、すなわち『宝物』を多く有している」として、同戦略のコンセプト「動かすPR」を踏まえ、「多くの方々に、この『宝物』を有する鹿児島を訪れてほしい、体験してほしい」という意味を込めて、新たなキャッチコピー「南の宝箱 鹿児島」を決定したとした。

今後、同戦略に基づき、新たなキャッチコピーも積極的に活用しながら、国内外に向けて戦略的・効果的なPRに取り組んでいく。

24日と27日には代表質問、3月1~3日、6日には一般質問がある。政策の検討過程や歴史などに関する重要な情報が記録された公文書を「歴史公文書」と位置づけ永久保存することなどを定める公文書の管理に関する条例案も審議される予定。