奄美市は20日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比0・9%(2億7257万円)減の311億3340万円。市内小中学校の大規模改修などの大型公共事業の狭間で普通建設事業費が減少したことなどから、3年連続の減額予算となった。大型ハード事業が減少するなか、子育て支援関連などのソフト施策を中心とした、50事業34億8980万円を計上。「こども未来課」を新設し、子育て支援を強化、市独自の不妊治療助成など妊娠期から出産・子育てまで一貫して支援する「未来応援はぐくみプロジェクト」に新たに取り組む。経済対策では、世界自然遺産登録の波及効果の創出を念頭に、観光、物産及び情報通信を柱とした「かせぐ地域づくり」を推進。世界自然遺産関連事業として、20事業に8823万円を計上した。
【歳入】自主財源は前年度当初比4・9%(3億2562万円)増の70億1557万円で歳入全体の22・5%を占めた。最も多いのは市税で、同比2・9%(1億1592万円)増の40億7336万円。当初予算としては過去最高で、20年度以来、3年ぶりに40億円を超える歳入を見込む。ふるさと納税の寄付金は前年度と同額の2億5千万円を見込んでいる。
依存財源は同比2・4%(5億9819万円)減の241億1783万円で、歳入の77・5%を占めた。最も多いのは、地方交付税で同比1・0%(1億1991万円)増の122億1313万円。歳入全体の約4割を占めている。市債は大型事業の狭間となったこともあり、同比25・1%(6億4430万円)減の19億1830万円と、3年連続の大幅減となった。
【歳出】義務的経費は同比0・1%(1820万円)減の194億3664万円で、歳出全体の62・4%を占めた。生活保護などの扶助費は同比0・8%(7813万円)増の96億8610万円と最も多く、次いで人件費が同比4・3%(2億2801万円)減の50億9880万円、公債費が同比2・9%(1億3167万円)増の46億5173万円。扶助費と公債費が増えたものの、人件費が減少したことで、全体としては前年度を下回った。
投資的経費は大型公共事業の狭間の年度となったことから、普通建設事業費が同比11・2%(3億2163万円)減の25億5833万円と、3年連続の減額となった。
主な事業では、不妊検査費用助成事業(80万円)のほか、これまで女性を対象とした「離島地域不妊治療支援事業」を男性にも拡充(345万円)、不妊・不育治療支援事業(450万円)と合わせた「未来応援はぐくみプロジェクト」を推進する。
また、住用、笠利地区の認定こども園整備に向けた事業(4千万円)や、3歳児健診における視力検査導入(790万円)、子どもの貧困対策として市内の小中学校生を対象とした「家庭生活実態調査」(301万円)なども実施、出産・子育てを一貫して支援する体制を強化する。
地方創生関連では48事業9億4228万円を計上。奄美群島日本復帰70周年記念事業として、全国離島交流中学生野球大会(離島甲子園)の開催費5千万円や、かごしま国体相撲競技開催にかかる事業費1億5155万円などを計上した。
ふるさと納税等活用事業は20事業1億1763万円を計上、小中学校の椅子と机計1900組を新たに配備する。
世界自然関連では、実業家の前澤友作氏の寄付金1千万円を活用、地球温暖化対策法にかかる市実行計画の改訂および策定を行う。
一般会計と水道事業、下水道事業、国民健康保険事業などの特別会計を合わせた予算総額は同比214万円増の433億4146万円で、前年度並みとなった。