「ほこらしゃ奄美音楽祭」

約1400人が来場した「ほこらしゃ奄美音楽祭」(25日、奄美文化センター)

第3部、オーケストラによる島唄でトリを務めた「請くま慢女節」を披露した里アンナさん(25日、奄美文化センター)

音楽祭は、会場一体となった「六調」で最後を締めた(25日、奄美文化センター)

「島唄」を前に演奏者も涙
オーケストラとの融合実現

 島唄とオーケストラの融合を実現した管弦楽コンサート「ほこらしゃ奄美音楽祭~奄美群島日本復帰70周年を祝して~」が25日、奄美市名瀬の奄美文化センターで開催された。島を代表する唄者たちとオーケストラ奏者による島唄を前に、約1400人の聴衆を魅了。共演した演奏者も涙するなど、「ほこらしゃ」(誇らしい、素晴らしい)の名にふさわしい島唄が披露された。

 同コンサートは、文化庁の文化芸術創造拠点事業として開催。主催の同実行委は、県と奄美大島5市町村で構成。島唄の魅力を通し奄美の文化への理解を深め、島独自の観光資源、振興策とすることが目的。事業は2022年度~24年度の3年間。

 音楽祭は、総合プロデューサーを務めた鹿児島市出身の作曲・編曲家、吉俣良さんが手掛けたNHK大河ドラマ「篤姫」のメインテーマを自ら指揮を執り開催。プログラムは、全3部。第1部が総勢41人のプロオーケストラ「ほこらしゃ奄美管弦楽団」による名曲演奏。ベートーベンの交響曲第7番、第1楽章と第4楽章など7曲が演奏された。

 第2部が唄者の安原ナスエさん、三味線も務めた前山真吾さんによる「むちゃ加那節」「稲すり節」など4曲を披露。囃子、ギターなどともに民謡古典としての島唄が場内に響いた。

 第3部では、吉俣さん編曲のオーケストラ演奏と島唄が「共演」。唄者の楠田莉子さん、城南海さん、里アンナさんが唄う「いまぬ風雲節」「よいすら節」「請くま慢女節」が、管弦楽の演奏と見事に調和。聴衆たちから万雷の拍手が送られた。

 吉俣さんは奄美の島唄に対し、「オーケストラで唄われた島唄はスコア(総譜)ができて、50年後も演奏できる。若い世代が唄いたい、演奏したいと思い、受け継いでくれたら」と希望を述べた。

 龍郷町嘉渡から訪れた、イラストレーターのハルカテルさん(39)は「里さんの島唄に、共演した弦楽器の奏者が涙を流していた姿を見て驚いた。感動がさらに増した」と話した。