スマート農業、理解醸成へ

担い手確保へ経営継承支援も
農業の「稼ぐ力」向上で県

 基幹産業の一つ農業の「稼ぐ力」向上へ県は、先端技術の活用により1人当たり作業面積の増大につなげるためスマート農業の推進に取り組んでいる。しかし機械が高価なことやメリットが十分に生産者に伝わっておらず、さらなる普及が課題だ。

 24日にあった3月定例県議会代表質問での答弁で、塩田康一知事はスマート農業推進について「機械導入に要する経費の一部支援や現地での実証活動を実施していく」と新年度の施策を説明。課題改善へ生産者の理解醸成を図る考えを示した。

 販売面ではフェアの開催など国内外の販路拡大に取り組んできたものの、特に首都圏では県産農畜産物の認知度は十分でない状況にある。そこで首都圏の消費者に対し、空港や駅などでPR広告塔を活用し情報発信。輸出促進は取り組む生産者を増やす必要があることから、輸出商社など専門家も参画した県全体でのコンソーシアム(共同事業体)による輸出推進体制を構築していく。

 生産農家の経営面の改善では生産コスト低減を図らなければならない。知事は「省エネ機械の導入推進や、化学肥料や農薬など生産資材の使用量低減等に取り組んできた」と述べた上で、こうした取り組みは「地球温暖化防止の観点や化学肥料等の海外依存からの脱却の観点でも重要」として引き続き支援していくとした。

 農家の高齢化が進む中、担い手の育成・確保が求められている。松薗英昭・農政部長の説明によると、県内における2021年度の新規就農者数は218人で、うち後継者は173人、新規参入者45人。また新規雇用就農者数は、認定農業者である農業法人を対象とする調査によると、190法人に382人が就農している。

 県内農業の持続的発展には新規就農者の確保や認定農業者、集落営農などの担い手育成が欠かせない。県ではこれまで県内外での就農就業希望者への相談対応や農業大学校での教育研修、就農後の経営安定に必要な機械施設等の導入支援など推進。さらに経営管理指導や法人化支援、若手リーダーを育成するため「かごしま農業次世代トップリーダー塾」の開催、集落営農の組織化・法人化のための経営発展研修会開催など担い手育成を進めてきた。

 こうした取り組みに加え、農業経営・就農支援センターを中心に新たに、担い手確保のための第三者への経営継承支援や、農業法人の経営改革に向けたビジネスプランの作成など経営の発展段階に応じた支援の充実を図っていく。