マスクなしの笑顔で入場する卒業生たち
奄美群島内の公立高校の多くで2月28日、2022年度卒業式があった。全校で一部または全部でマスク着用を求めず、高校生活3年間をコロナ禍で過ごした卒業生にとって、最後に笑顔の見える門出となった。県教委によると、群島内の公立高校22年度卒業者は、定時制を含め520人 =1月現在=。与論は2月21日に実施し、私立樟南第二は1日に予定している。
奄美市名瀬の大島高校(黒木哲二校長)では、第74回卒業式が行われ、卒業生214人が卒業。教職員・保護者らに見守られ、笑顔の卒業生が、高校生活の思い出と将来への期待の入り交じった表情で式に臨んだ。
卒業生は担任教諭から一人ずつ名前を呼ばれ、黒木校長からクラス代表者が卒業証書を授与された。
式辞で黒木校長は「みんなのたゆまぬ努力が結実し卒業を迎えることができた」とし、「これまで支えてくれた人たちに、襟を正して自分の言葉で感謝を伝えて」と話した。
生徒会副会長の泉美乃=よしの=さん(2年)は「コロナ禍でも強く前を向いて高校生活を送ってきた、先輩たちの姿に勇気をもらった。大島高校の伝統と大高魂を守っていく」と送辞を述べた。
答辞では、前生徒会長の田代豊秀さんが「コロナ禍でも仲間がいたから学校生活を楽しめた。創立120周年記念や野球部の甲子園出場など良い思い出が多い」と話し、「奄美の人たちと自然に育てられたことを忘れない。お父さん、お母さん、本当にありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。
卒業式後も、記念撮影や卒業アルバムへの寄せ書きの交換など、別れを惜しむ姿が多く見られた。
栄養士を目指し福岡県の専門学校へ進学する、岡山美沙希さん(18)さんは「卒業の実感がない。別れは悲しいが、毎日楽しい高校生活だった」と笑顔を見せた。
山口県の航空自衛隊に入隊する、山田太陽=てぃだ=さんは「友達に恵まれ、充実した3年間だった。これからは航空救難団を目指して頑張る」と話し、母の千映留=ちはる=さん(48)は「うれしい思いをたくさんさせてもらった。寂しくなるが、人の役に立ちたいという、子どもの頃からの夢をかなえられるよう頑張ってほしい」と語った。