瀬戸内町のタンカン農家ら約50人が参加、栽培技術を学んだ
タンカンの栽培技術向上などを目的に瀬戸内町が実施している「ストグレ!たんかん塾(基礎編)」の第4回講座が1日、同町のきゅら島交流館であり、同町のタンカン農家ら約50人が参加した。タンカンのせん定や幼木の育成管理などについて、県大島支庁農林水産部農政普及課の松尾至身(てつみ)技術普及係長が指導。「見た目は悪いけど、味は抜群では、『奄美たんかん』の看板を背負うことはできない。みなさん一人ひとりが、奄美の産地を背負っていることを忘れず、おいしい高品質のタンカンをつくってほしい」と、高品質のタンカン生産を呼び掛けた。講座の最後には、計4回すべてを受講した26人に修了証が手渡された。
同塾は、タンカン栽培に関する技術・技能・知識を基礎から学ぶことを目的に、昨年8月に開講。計4回の講座で、摘果、病害虫、施肥などの土壌づくり、せん定および幼木の育成管理について、各分野の専門家や技術者の講義や農園での実地研修などを行ってきた。
同塾最後の講座となったこの日は、来年に向けた収穫後のせん定方法や高く成長した樹木を管理しやすい樹高に改造するせん定方法、幼木の育成ポイントなどを中心に、栽培に必要な技術を教えた。
収穫後のせん定について松尾係長は、「原則として枝の付け根から切り落とす『間引きせん定』を心掛けるよう」呼び掛けた。また、たくさん実を付けた木と不作の木では、せん定する時期を変えるなど、樹木の状況を見ながら年間を通して管理することの重要性を説明。水平より下がった部分を間引くようにせん定することで、通気性や日当たりが良くなることも指摘した。
樹高については、作業しやすい高さの部分で発芽が促されるようにせん定することで、安全性や作業効率が高まるとし、高いところの外側にせり出した枝を選定したり、場合によっては、枝を大きく切り落とすせん定を行い、低く横に枝を伸ばすことで、管理しやすい形に整える方法を伝えた。
4回すべての講座を受講した同町古仁屋の池田高子さん(60)は「祖父から受け継いだタンカンがうまく育てられず受講した。栽培管理の重要性や問題点なども知ることができた。講座で得た知識を生かし、来年はもっと収穫できるようにしたい」と話した。
同町農林課によると現在、町内のタンカン栽培面積は約40ヘクタール、栽培者数は約300人で、うち74人が同塾を1回以上受講した。新たにタンカンを植栽する人も増えていることから、同課は「新年度以降もたんかん塾を継続し、農家の栽培技術向上につなげたい」としている。