奄美医療圏会議

意見が飛び交った医療構想調整会議

基本合意も協議継続 県立大島病院の回復期移床

医療法に基づき将来の病床数を決める第10回奄美保健医療圏・地域医療構想調整会議(議長・稲源一郎大島郡医師会会長)が1日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。喜界徳洲会病院の99病床への増床が認められた。県立大島病院が全270病床のうち37病床を回復期病床に充てたいと答申。基本合意されたが、他病院との連携など、市内2病院を加えた事務レベルの協議が継続され、正式承認は持ち越された。

大島病院・石神純也院長が、「院内で、急性期病床37床を回復期に移床したい」との申請があり討議。他病院から、「急性期医療に集中してほしい」「スタッフの奪い合いにならないか」などの意見が相次いだ。

同病院からの転院受け皿となっている大島郡医師会病院・眞田純一院長は、「回復期(リハビリ)病床85床の稼働率が75%に過ぎず、常に21床空いている状態。(大島病院の急性期からの)転院をスムーズにしてほしい」と要望した。石神院長は、「高齢患者が多く、すぐ転院というわけにもいかない」と理解を求めた。移床は基本的に合意されたが、奄美病院を加えた3院で事務レベル協議が継続されることになった。

厚生労働省が推計人口をもとに示した2025年の病床必要量で、奄美大島は約700、徳之島270などとされている。高岡秀規徳之島町長は、「数字ありきで島の実情が分かっていない」と反発、大久保明伊仙町長も「本土の高齢者を島に誘致する政策を進行している。試算人口は400人ではなく6500人だ」と増床を訴えた。

また、名瀬徳洲会病院・満元洋二郎院長は、「病床の問題は、グループ間の移床で解決する。患者を動かすのではなく、医師を動かせばいい」と独自の戦略を示した。

同会議は圏域内の病院関係者や12市町村首長、県大島支庁などの委員で構成。団塊の世代が75歳以上になる2025年に向け地域の実情に合った病床数を(急性期・回復期などの)機能別に調整するもの。慢性期病床の患者を在宅や介護施設に転換し、病床数の削減を進めている。今回の会議で合意に至らなかった増床・移床の申請については、おおむね3カ月後をめどに調整会議を開き諮られる。