3月定例県議会は3日、引き続き一般質問があり、寿肇議員=自民党、大島郡区=、上山貞茂議員=県民連合、鹿児島市・鹿児島郡区=、園田豊議員=自民党、南さつま市区=、白石誠議員=自民党、薩摩郡区=、山田国治議員=自民党、霧島市・姶良郡区=が登壇。奄美群島日本復帰70周年を踏まえた振興策について塩田康一知事は「条件不利性が依然として存在する」との認識を示し、今後も奄美群島振興に取り組む決意を示すとともに、復帰70周年の節目では記念式典の実施など歴史的意義を広く示していくとした。
奄美関係の質問は寿議員が行った。知事は「復帰70周年の節目の年を迎えるにあたり日本復帰に尽力された先人たちの労苦に心から敬意を表する」と述べた上で、奄美群島の自立的発展を図るため▽産業振興や担い手の確保育成などの定住促進▽運賃軽減や輸送コスト支援など条件不利性の改善▽沖縄とも連携しドクターヘリの安定運用▽急患搬送維持など生活基盤の確保充実―など引き続き取り組むとした。
2023年度末(24年3月末)に期限切れを迎える奄振法について知事は「今年度実施している総合調査の報告書を今年度末に取りまとめて国の審議会に提出するとともに、県議会や県選出の国会議員、地元市町村と一体となって法延長の実現と支援措置の充実を国に働きかけていく」と述べた。
サトウキビ振興など農業関係は松薗英昭・農政部長が答弁。それによると生産の現状で21年産(熊毛・奄美全体)は、対前年比で生産量は4%増の約54万3千トン、10アール当たり収量5%増の約5700キログラム、産出額14億円増の130億円。国の調査では20年産キビの10アール当たり粗収益は約12万7千円、農業経営費約9万7千円、農業所得約3万円となっている。
松薗部長は「サトウキビは地域経済を支える重要な基幹作物であり、生産者の経営安定および製糖工場の安定操業のためには単収および品質の向上、栽培面積の維持拡大を図ることが重要」と指摘。このため県では増産計画に基づき堆肥投入など地力の増進や病害虫の適期防除、優良品種の普及などにより単収・品質の向上を推進。栽培面積の維持拡大に向けては、補助事業を活用してハーベスタや株出し管理機の導入を支援し省力化を図るなど新しく植え付ける新稙面積の拡大促進に取り組んでいる。
また製糖以外のサトウキビ活用に関する答弁もあった。それによると、温室効果ガス削減へ国内航空における目標として「2030年時点での航空燃料の10%を持続可能な航空燃料であるSAF(サフ)に置き換える」という目標を設定。達成に向けて昨年4月、官民による協議会を設立したが、構成員である農林水産省において現在、国内におけるサトウキビなどを原料としたSAFの供給可能性について調査検討が行われているとした。
馬毛島への自衛隊施設整備に伴う建設業での人手不足対応も取り上げられた。同施設整備では滑走路など飛行場施設のほか、駐機場などの飛行機関連施設、係留施設などの港湾施設が計画されている。このうち消波ブロック整備について安原達・土木部長兼本港区まちづくり総括監は「国土交通省九州地方整備局が発注する港湾施設の工事に含まれており、短期間に多くのブロックを生産することから連続利用が可能な広い敷地を確保する必要があり、製作場所の適地が限られる」と説明。このため現在、県本土や種子島、奄美大島などにおいて「製作場所の調整が行われるとともに、受注者により下請け業者の選定が進められていると聞いている」と報告。奄美群島を含めて県内建設業の人手や資材、作業船などの不足により県内公共工事、なかでも港湾工事の円滑な推進に支障が生じないよう情報を収集、動向を注視しているとした。
なお、本会議冒頭、3億6千万円を追加した22年度一般会計補正予算案(総額9593億4100万円)が提案され、塩田知事が提案理由を述べた。