日米共同訓練 双方指揮官、意義を強調

日米共同訓練での抑止力・対処力向上など意義を強調(左から2番目・梨木団長、3番目・フリドリック准将)=3日夕、徳之島町花徳海岸で

「抑止力実現が最も重要」徳之島で

【徳之島】「まずは抑止。紛争・戦争を起こしてはならない。抑止力の実現が最も重要」―。日米共同訓練(アイアン・フィスト23、IF)における徳之島町花徳海岸での着上陸訓練後、▽陸自水陸機動団(長崎県佐世保市)団長の梨木(なしのき)信吾陸将補と▽米海兵隊第3海兵遠征旅団司令官兼第三海兵遠征軍(沖縄県駐留)副司令官のフリドリック・フリデリクソン准将がそろって記者会見。共同訓練IFの意義や成果をアピールした。

米・ハワイ州以西および日本国内初の陸自水機団と海兵隊共同訓練。意義について、梨木団長は「わが国に駐留する米海兵隊第31機動展開隊と高度な共同訓練を実施し、日米の共同作戦能力が向上。一段と厳しさを増す国際情勢において、わが国および周辺地域の抑止力・対処力を図る上で大変意義のある訓練だった」。

共同訓練指揮4回目のフリドリック准将も「(IF23は)米海兵隊と陸自の信頼と協力の精神を象徴するもの。陸自との訓練を拡大し、侵略の抑止と地域の危機への対応のための総合運用性、即応性をさらに高める」。さらに「日米同盟はテロ対策、海賊対策、平和維持、ミサイル防衛、人道支援、災害救出活動など地域全体の安全保障環境に寄与している」。

記者質問の「台湾有事など脅威への具体的対応」について、梨木団長は「あらゆる事態と状況に的確に対応できるようにするのが本演習の狙い。その上で、多くの島嶼を有するわが国の地政学的特性など観点から、その地域でより直結した実際的な訓練ができたことは非常に意義があった」。

実際の有事の際に地域の人々が巻き込まれる恐れに関しては「代表して回答できる立場にない」と述べつつ、「国土防衛から考えれば〝力の空白〟をつくらないことが極めて重要。適切な部隊配置、わが国独自の訓練や日米共同訓練をしっかりと行うことが、わが国と周辺地域の平和と安定に寄与する。まずは抑止。紛争・戦争を起こしてはならない。いかに抑止力を実現するかが最も重要」。

その上で、「抑止力を高め、わが国の国民の生命・身体・財産、わが国の主権・領土・領海・領空を守り切るとの思いで本訓練を実施している」と重ねて強調する。

前回の訓練(キーン・ソード)からわずか4カ月での実施、徳之島3町が自衛隊誘致に動いている点、同島の重要度など問いには、「現場の舞台指揮官としてお答えする立場にない」。訓練に伴う地元の負担に対する理解をいかに求めるかには、「(IFの)第一の理由は日米同盟による抑止力、対処力の強化。わが国および周辺地域の平和と安定の維持に大変意義のある訓練だと思っている」などと重ねて強調した。