初開催、奄美市で耳の日の集い

講話やセミナーを通して、難聴や聴覚障がいについて説く登壇者たち

「耳の不自由な人知って」あまみ難聴者協

あまみ難聴者中途失聴者協会(伊集院美代子会長、会員13人)は4日、耳の不自由な人への支援・交流を目的にした「耳の日の集い」を奄美市名瀬の市民交流センターで開いた。専門家などの関係者6人が登壇し、講話やセミナーを実施。約40人が参加し、難聴者や聴覚障がい者への理解を深めた。

同協は、聴覚障がい者の存在と立場を社会に認知させる「耳マーク」の浸透などを目的に2018年に設立。集いは初開催で、会場には手話通訳に加えスクリーンに言葉を書き出す要約筆記も配置。伊集院会長は冒頭、「耳の不自由な人を知り、聴こえについて理解が深まることで支援の輪が広がることに期待したい」とあいさつした。

宇検村地域おこし協力隊で言語聴覚士の栄雄大さんは、聴覚障がい者とのコミュニケーションについて野球のキャッチボールを例えに「捕るのが苦手な人は、速くて難しいボールは捕れない。難聴の人も考え方は同じ」と強調。互いが通じ合う工夫について、▽(口の動きを伝えるため)前に回って話す▽一人ずつ話す▽聴き直してよいと伝える―などの対応方法を挙げ、「投げる方や受け取る方、ほどよい関係が大事。身振り手振りやゆっくり話すなど、キャッチボールを成立させるよう工夫してほしい」と訴えた。

また、奄美市認知症の人と家族と支援者の会の屋ますえ代表は難聴と認知症の関係性について「高齢者のほとんどは老人性難聴を発症しており、聴こえの影響で認知症と勘違いされることも多い」と説明。早期発見アプリや予防策を提示した上で、「家族や周囲の気づきも大事。聴覚を回復させることで、高齢者の尊厳も守ってほしい」と呼び掛けた。

会では、市による助成制度の説明や福祉用具メーカーによる難聴を補う機器紹介なども実施。講話後は、意見交換も行われた。