奄美市生徒指導審議委

調査報告書の活用状況などが報告された生徒指導審議委員会

3割の学校で活用されず 第三者調査委報告書
体罰、いじめ防止へ 相談窓口の周知強化

奄美市生徒指導審議委員会(委員長・有倉巳幸鹿児島大学教育学部長、委員6人)の2022年度第2回会合が1日、同市役所であった。15年に奄美市の中学1年男子生徒が不適切指導により自死した事案について、第三者調査委員会が18年12月にまとめた調査報告書が、市内の小中学校の約3割で教員研修などに十分活用されていないことが報告された。

市教育委員会は、同報告書の内容が膨大で、研修のための時間確保が難しいことが、活用を妨げる要因となっているとし、今後は報告書を基にテーマを絞った実践例を示すことで、各学校での活用につなげていく考えを示した。また、体罰やいじめなどに関する相談窓口の存在を周知強化することで、児童生徒が安心できる学校環境の実現を図っていくことも確認した。

同審議会は、弁護士、臨床心理士、人権擁護委員、PTA代表、学校長らで組織。市教委が再発防止のためにまとめた「生徒指導ハンドブック」や第三者委の調査報告書の活用状況などを確認、教師による不適切指導やいじめなどを防止、生徒指導に関する取り組みや対策などについて市教育委員会に助言する。

この日の会合では、生徒指導ハンドブックや、同報告書の活用状況などについて市教委が説明。ハンドブックは市内すべての小中学校で活用されている一方、報告書を活用している学校が68%にとどまっていることが報告された。

同報告書の活用については、不適切指導とされた担任教諭の具体的事例をもとに、問題点などについて課題や改善策などを意見交換するワークシートを作成。テーマを絞ることで、活用しやすくする。

また、「子どもの権利条約」が定める「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」―四つの権利を踏まえ、ハンドブックを改訂、児童生徒の権利を尊重した学校を目指すことなどを盛り込んだ。

子どもや保護者の相談窓口については、▽教師からの体罰や暴言▽不登校▽いじめ・子どもの権利▽家庭教育―の4項目について、市教委の担当課窓口の電話番号やメールアドレスなどを記載したチラシを作成、4月の新学期スタート時に各学校を通して、全児童生徒に配布する。