徳之島町堆肥センターに導入された「堆肥ペレットマシーン」=5日、同町徳和瀬
製造された「堆肥ペレット」
【徳之島】徳之島町は、環境保全型資源リサイクル装置整備事業(町単独事業)で、同町堆肥センター(同町徳和瀬)に「ペレットマシーン」一式を導入。完熟牛ふん堆肥などの有機物を円筒形状に圧縮形成する「ペレット堆肥」の製品化を進める。高騰した化学肥料コストの軽減や積極的な有機物投入による土づくり、生産性、農家所得の向上を目指す。
同町堆肥センター(指定管理者・㈲南国パワー)は、サトウキビのバガス(搾りかす)やハカマ(枯れ葉)、肉用牛生産に伴う牛ふん、焼酎廃液など副産物の有機物を主原料に年間平均約2500㌧の粉末堆肥を製造。町内の農家などに販売供給(一部町助成)を続けている。
一方では、雨天時には粉末の堆肥散布車(マニアスプレッダー)がほ場に入れず管理作業が遅延。そして、化学肥料の価格高騰が農家に大きな打撃を与えている現状にある。
環境保全型資源リサイクル装置整備事業としての「堆肥ペレット」商品化は、奄美群島では初の試みという。徳之島町ふるさと思いやり基金(ふるさと納税)財源を活用。町堆肥センター施設内に、堆肥用ペレット製造機器(ペレットマシーン)一式を導入設置した。総事業費は約1500万円。
5日午後、関係者を招いて機器の完成・試運転を披露した。完熟牛ふん堆肥の原料をふるい装置で一次処理し、造粒設備でペレット化(直径約6㍉、長さ約10㍉)する製造工程を公開。町当局によると、従来の耕うん機や小型トラクター装着型、背負い式の施肥機(器)が利用でき、緩効性で施肥効果が長いこともメリット。
今後、成分分析や商標登録を進め、今年秋ごろから小口販売を始め、来年のサトウキビ春植え期からの本格販売を目指すという。価格は1袋(15㌔)当たり「農家負担の少ない千円以内を検討したい」。
高岡秀規町長はあいさつで「非常に上質な堆肥ができると期待。ウクライナ問題などで価格が高騰しているが、世界的に化学肥料を一番使っているのは日本と言われている。リサイクル、カーボンニュートラルも含めて豊かな土を子や孫に残そう」と強調。
県堆肥コンクール・最優秀賞にも輝いている㈲南国パワーの東政宏社長(66)は「一番のメリットは施肥作業がしやすいこと。農作物を適正管理することで農家の所得が向上。化学肥料は約1・5倍に高騰しており、少しでも地場産で供給できたらと思う。雇用促進にもつながる」と話した。