24年3月天然温泉施設開業

建設予定地

設置される予定のサウナ棟・テントサウナ

大和村大棚 集客3万人に期待
グランピング施設やレストランも

大和村大棚で天然温泉の露天風呂を核に、グランピング施設やレストランなどを備えた温浴観光施設の開発が進んでいる。2024年3月のグランドオープンに向け、伊集院幼大和村長は、「奄美初の温泉施設になる。(23年度着工となる)アマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)との相乗効果など年間3万人の集客を見込んでいる」と話す。また、地域で体験イベントを実施している「集落まるごと体験協議会」(中村修会長)との連携企画も検討されており、村内周遊型の観光需要に「村を挙げて」(伊集院村長)期待を寄せている。

「奄美温泉大和ハナハナビーチ温浴施設」として同村大棚・石川で工事を進めるのは、同村大和浜出身の浜崎哲義さん(64)が経営する㈱グレイ美術(本社=東京)。同社は、テレビCMの撮影や舞台美術を手掛ける映像美術制作会社。1999年に同地の山林を取得、「奄美ハナハナ」を立ち上げ、大規模な夏フェスを行うなどイベント演出には実績がある。

浜崎社長は、「人口が減少している古里で地域を活性化したい。温浴棟で正社員・パート約30人の雇用を考えている。スタッフは地元に定着する前提で村とも話をした。地域のほかの観光業者とも共存共栄していく」と話した。

19年の地質調査で泉源を確認、同村と立地協定を締結した。21年3月、掘削工事に入り、9月には地下1600メートル地点で温泉を掘り当てた。泉質は弱アルカリ性の単純温泉(湧出量=毎分187リットル/泉温=40・2度)。関節痛や冷え性に適応がある。

敷地面積約12万平方メートル、温浴施設は約1500平方メートル。露天風呂は温泉の縁が見えないインフィニティデザインで東シナ海を望む造りとなる。屋外プールやグランピング施設、ファミリーキャンプなどを備える。サウナ棟やテントサウナもある。ショップ、レストランも併設する。

温泉掘削を含む温浴棟・プールエリアの工費は約10億円。㈱松本組(本社=奄美市名瀬)が施工する。グランピング・キャンプエリアの工費は非公表。24年2月にプレオープン、3月にグランドオープンする予定。温浴入浴のみの利用で大人1650円を予定しており、同村では村民を対象に補助を検討している。

同社と連携したアクティビティを検討している体験協議会の中村会長は、「なにより温泉施設の存在が村のイメージアップにつながる。我々が普段実施しているSUP(スタンダップパドル)などの体験イベントと、浜崎社長の想像を超えた企画力が結び付けば、面白いものが生まれる」と語った。