ハンセン病から奄美を学ぶ

生涯学習講座でハンセン病の差別問題を講演する赤塚興一さん

 

 

差別ない社会実現へ
奄美市生涯学習講座

 

 ハンセン病を通して差別問題や奄美の歴史を考察する講演会が11日、奄美市名瀬の市民交流センターであった。ハンセン病家族訴訟原告団「あじさいの会」会長代行の赤塚興一さん(84)の講演に約30人が受講。差別のない社会実現への認識を共有した。

 同講演会は、奄美市生涯学習講座「奄美の近現代史を学ぶ」(花井恒三さん主宰)として、各分野から講師を招き毎月開催。今回は赤塚さんと中村保さん(72)がハンセン病問題について、宮山紘一さん(84)が西郷隆盛とゆかりのある「仲祐=なかゆう=」について講演した。

 赤塚さんの父(1907年生まれ)は36歳でハンセン病を患い、鹿屋の療養所を経て47年に奄美和光園に強制隔離された。赤塚さんはハンセン病患者の家族というだけで差別を受けた苦しみが、長年トラウマとして残ったという。また「3歳~9歳まで父と暮らしていたが、家族は誰も感染しなかった」と指摘。当時の「ハンセン病は強力な伝染病」だと流布した社会や医療機関を批判し、それによる差別は人権問題だったと述べた。

 その後、ハンセン病患者を療養所に隔離した「らい予防法」は96年に廃止。赤塚さんらハンセン病元患者家族が起こした訴訟は2019年、熊本地裁が国に損害賠償を命じる判決で勝訴した。

 国立療養所多磨全生園で多くのハンセン病患者と向き合ってきた中村さんは、ハンセン病の症状や入所者の生活などを説明。名前を強制的に変更され、人格さえも否定された当時の入所者たちを振り返り「差別のない社会」の必要性を訴えた。

 同講座は、次回3月25日(反省会)で最終となる。