平香里奈さん涙の優勝

カラテ日本一目指し奄美勢奮闘
緑晴さん2連覇果たす

 【東京】調布市(東京都)の武蔵野の森総合スポーツプラザで「第2回青少年フルコンタクト空手道選手権大会」(主催・公益社団法人全日本フルコンタクト空手道連盟)がこのほど開催された。各地の道場から延べ1121人がエントリー。奄美勢は12人が参加し奮闘した。小学4年生女子軽量級で、奄美支部の平香里奈さんが優勝した。

「おばあちゃんのため絶対に優勝する」。平香里奈さんには、負けられない理由があった。闘病中の祖母・森美喜子さん(67)に、危篤の床から「いってらっしゃい」と送られ、たった一人で上京。いつもは母親の瑞穂さん(36)と臨むが、それもかなわない緊急事態だった。

 香里奈さんは、不安を振り払うように練習を重ねた左の上段膝蹴りを武器に、シード選手も撃破し優勝。昨年の悔し涙は、喜びと達成感の涙に変わった。

 「つらかったはずですが、やってくれました。精神的にもたくましくなりましたね」と奄美支部の栄克人師範代は感心する。美喜子さんは、大会へ向かう孫の無事を祈るよう間もなく永眠。後日、トロフィーが誇らしげに寄り添い、訪れた者の涙を誘ったという。

 瑞穂さんは「一緒に大会へ向かえず、とても不安でしたが、行かせてよかったです」。母親は、悲しみの中で快挙を成し遂げた我が子の成長を感じていた。香里奈さんは「応援してくれたおばあちゃんに優勝を報告でき、うれしかった。次も強くなれるよう頑張りたい」と寂しさを切り替え、言葉を弾ませた。

 また、新極真会の緑健児代表の孫で、奄美で幼稚園時代を過ごした緑晴さん(福岡支部)が小学3年男子重量級で見事に2連覇を飾った。ほか、小学6年男子中量級で奄美市出身の渡颯羅さん(福岡支部)、小学3年男子中量級でも奄美市出身の崎田朝日さん(大田南支部)がそれぞれ3位に入賞した。

 緑代表は「レベルの高い大会での優勝、連覇は大変価値がある。見事だ。奄美の選手たちも奮闘し、大会を盛り上げてくれました」と印象を語っていた。