「集落×人×観光シンポ」

集落の維持や活性化をテーマに議論する地域リーダーたち

住民巻き込み集落おこしを
地域リーダーが維持・活性化で議論

 地域の担い手らが集い、集落の維持や活性化を考える「集落×人×観光シンポジウムin奄美大島」(県主催)が12日、奄美市名瀬の県立奄美図書館研修室であった。登壇した地域のリーダーらは、人口減少や過疎化、コロナ禍など激しく変容する時代の地元地域の振興策や事業展開などを議論。住民らを巻き込んだ集落おこしの様子や秘訣を伝えた。

 集落の魅力発掘だけでなく、地域での事業や資源継承、人材確保にも意識を高めてもらおうと企画。奄美群島環境文化総合研究所代表の小池利佳さんを進行役に、宇検村、龍郷町、徳之島町、沖縄県国頭村で地域おこしを進める推進役の4人が、ディスカッションに臨んだ。

 龍郷町で宿泊・食堂施設「荒波のやどり」を営むEmore秋名の村上裕希さんは、調理スタッフに地元高齢者や主婦を採用し、自身でも郷土食を学びながらメニューを提供。「地域の家庭で食べられるものだからこそ本当に価値がある。地元の人がいきいきと伝えることで観光客にも響いている」と訴えた。宇検村を拠点に地域ゼミなどを主宰する巡めぐる恵めぐるの新元一文さんは、地域で働く人を採用したポスター制作や村内を巡るスタンプラリーといった活動事例を紹介。「地域にいるだけでいろいろなことを教えてくれる。一般的にどうかではなく、脈々と受け継いできた集落にあるものを大切にすべきだ」と呼び掛けた。

 徳之島町金見を舞台に「見る・食べる・遊ぶ」を展開する金見あまちゃんクラブを立ち上げた元田浩三さんは「世界自然遺産ばかりが注目されるが、海・里・森が一体となった活用や保存が大事」と強調。国頭村で集落アクティビティを一体に扱う宿泊施設を運営する地域限定旅行社「やんばるツアーズ」の仲本いつ美さんは「始める前の思い入れだけでは集落の人に伝わらない。だんだんとしか受け入れられないのも現実。誠実にやり抜くことで信頼を高めてほしい」と課題も挙げた。

 会では、「集落と観光をつなげるコーディネート」と題する仲本さんの基調講演もあった。質疑では、ビジネス体制や集落の巻き込み方に対する質問などが出た。