先人の不屈の精神演じ切る

約70分にわたる劇を演じ切った塾生たち

児童、生徒、大人の塾生26人 瀬戸内町
公演に観客感動
復帰70

 奄美群島日本復帰70周年記念公演「私たちの望むものは」(瀬戸内町教育委員会、せとうちシアター塾共催)が12日、瀬戸内町のきゅら島交流館であった。奄美市名瀬出身の映画監督、富岡忠文さんが脚本・演出を務め、町内の児童、生徒、大人の同塾生26人が、米軍統治下時代の奄美の暮らしや、無血の復帰を成し遂げた先人の不屈の精神を演じ切り、会場を訪れた約160人の観客を感動させた。

 町教委の総合芸術教室「せとうちシアター塾」事業の一環。演劇を通し、自主性やコミュニケーション能力、表現力などを身に付けることが目的。昨年10月29日の初稽古から多くの稽古を積み重ねてきた。塾生は9人が小学生、5人が中学生で高校受験と両立して稽古に励んだ、古仁屋中3年生が3人含まれている。

 舞台は、現代の瀬戸内町で生活する子どもたちが、戦争や終戦後米軍の統治下に置かれた島民の生活、無血の復帰を成し遂げた先人たちの努力や不屈の精神を知り、見つめ直す物語。塾生たちは、約70分の劇を見事に演じ切り、会場からは大きな拍手が送られた。

 脚本・演出を務めた、富岡さんは「無事終わってほっとした。稽古を重ねるごとに子どもたちも積極的に意見を出すようになり、奄美の歴史を理解しながら演じることができた」と語った。

 高校受験と両立した、古仁屋中3年の請島心愛さん、西田來未さん、数原悠さんは「受験勉強との両立が難しく、諦めかけたこともあったが、いろいろな人と関わり、最高の舞台がつくれたので、頑張って参加して良かった」とあいさつした。

 同町阿木名から来場した、吉田サチさん(85)は「感動した。戦争の歌も一緒に歌った。自分たちが経験したことを思い出し、涙が止まらなかった」と感極まった。