「ヤングケアラー」早期発見、適切支援へ

コーディネーター配置 実態調査受け県

子どもが家族の介護や世話を日常的に担う「ヤングケアラー」について県は初の実態調査を行ったが、それにより世話の悩みなどを誰にも相談したことがない児童生徒の割合が約7割に上ることが明らかになった。早期発見、適切な支援へ新年度、つなぎ役となるコーディネーターの配置に取り組む。

新たに「オンラインサロン」も

子どもが家族の介護や世話を日常的に担う「ヤングケアラー」について県は初の実態調査を行ったが、それにより世話の悩みなどを誰にも相談したことがない児童生徒の割合が約7割に上ることが明らかになった。早期発見、適切な支援へ新年度、つなぎ役となるコーディネーターの配置に取り組む。

調査は昨年9~10月、小学6年生、中学生および高校生の1万5528人を対象にしたところ、60・8%にあたる9441人が回答した。調査項目は学校のケアの状況、生活への影響、支援ニーズなど。

調査結果によると、世話をしている家族が「いる」との回答は小6で9・4%、中学生で5・7%、高校生で3・8%に及び、一定数存在することが把握された。世話をしている家族のことや世話の悩みを相談した経験の有無については、相談した経験が「ある」が約1~2割(小6=13・4%、中学生=15・5%、高校生=21・9%)、「ない」が約6~7割(小6=78・4%、中学生=71・0%、高校生=64・4%)となり、相談できていない割合が多くを占めている。

世話をしている頻度は「ほぼ毎日」(小6=50・7%、中学生=43・3%、高校生=52・7%)が最も高く、平均1日当たりの世話時間は「3時間未満」が最も高い一方で、約2~3割が3時間以上世話に費やしていた。こうした状況から家族の世話により日常生活における制約や学校生活への影響も一定数みられた。

調査結果について、開会中の県議会一般質問でくらし保健福祉部の岩田俊郎子育て・高齢者支援総括監は「支援が必要であっても表面化しにくいヤングケアラーを早期発見し、各家庭の状況に応じて必要な福祉サービス等の支援に、適切につなげる体制づくりや相談しやすい環境づくりが必要」と答弁している。

新年度、県は関係機関職員向けに研修会を実施するほか、ヤングケアラーを把握した場合に家庭の状況に応じて適切なサービスにつなげられるよう、関係機関・団体などを結ぶコーディネーターを配置する。さらにヤングケアラー同士の悩みや経験などを共有する場としてSNSを活用した「オンラインサロン」の新たな設置も計画している。

このほか市町村における相談窓口の設置を促進。ヤングケアラーの家庭を支援員が訪問し、相談や支援に取り組む市町村への補助も行う。県ではヤングケアラーの気持ちに寄り添いながら支援が必要かどうか、どのような支援がほしいのか聞き取りをした上で支援していく方針だ。