国産「徳之島コーヒー」

AGF「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」。現地「コーヒー教室」(オリジナル・ブレンド体験も)=15日、伊仙町で

世界のコーヒー豆や抽出方法別の飲み比べも

希少性を再認識
AGFが現地で「コーヒー教室」

 【徳之島】持続可能な国産コーヒー生産を目指す「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」に取り組む、味の素AGF㈱(AGF、本社・東京都渋谷区、竹内秀樹代表取締役社長)の若手社員らの「コーヒー教室」が15日、伊仙町ほーらい館であった。同島の生産者会や飲食業関係者など約40人が参加。世界情勢や品種特性など座学、抽出・試飲・豆のブレンド体験を通し、国産「徳之島コーヒー」の希少価値も再認識しあった。

 AGFは2017年6月から徳之島の伊仙町で、町当局や徳之島コーヒー生産者会、大手商社・丸紅㈱の4者で「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」を推進。現地農場も設置して台風対策や土壌改良、収穫豆の精選機や焙煎機不足対策、後継者問題などにも協力。ソフト面では昨年12月、県立徳之島高校で特別授業を実施。今回は生産者会や喫茶店、宿泊施設などの関係者を対象にした。

 講師は、AGFの社員育成検定「コーヒーマイスター」(5期生)の上級プログラムに参加している13人が担当。これまでの現地研修は海外産地が中心だったが、3泊4日間の日程で徳之島が対象。コーヒー教室講師の担当は、数カ月に及んだ同検定プログラムを締めくくるもの。

 参加者たちは、赤道をはさんだ南北25度の回帰線(コーヒーベルト)の産地約70カ国。世界第3位のコーヒー生豆輸入国の日本。気温上昇、降雨量減少などの気候変動でブラジルのアラビカ種栽培に適した土地が現在の50%まで縮小すると言われる「2050年問題」などを受講。

 次ぐ実践編では、コーヒー豆の焙煎(ばいせん)、グラインド、抽出(ペーパードリップ・フレンチプレス・エアロプレス)、産地別飲み比べ。個々の嗜好に合わせたブレンド体験にも挑戦した。

 生産者会員で自らの喫茶店で「徳之島コーヒー」を提供する吉玉道子さん(68)=同町伊仙=は、「AGFの若い人たちがすごく楽しそうに仕事をされ、徳之島のコーヒーを応援してくれることがとてもうれしい。私たち生産者も頑張らねばと思った」と感謝。

 AGFの鈴木啓之常務執行役員(60)は「現地プロジェクトの一環で、徳之島コーヒーの浸透拡大、国産コーヒー・アイランドの一歩になれば」。育成検定参加の岡原一真さん(28)=大阪支社=は「お得意様に『国産コーヒーはないの?』とよく聞かれる。気象条件など厳しさも学べた。いつか自分の手で徳之島コーヒーを売りたい」。本間雄大さん(26)=東京支社=は「これを機に、作り手の皆さまの思いも伝えたい。徳之島コーヒーにどれだけの価値と未来があるのかも知ってもらいたかった」と話した。