「初垂れ」黒糖焼酎セット提案

新たな商品提案をする信州大学の学生ら

 

 

町田・西平酒造で学ぶ 新商品開発プレゼン
信州大学学生グループ

 

 

 信州大学の学生グループが17日、奄美市役所で黒糖焼酎を使った新商品開発のプレゼン(商品提案)を行った。大島紬のデザインを現代風にアレンジした試飲セットや、ボトルキャップ(コルク)を三線(サンシン)の糸で閉じるという斬新なアイデアが提案された。

 同大・学長補佐で社会基礎研究所長、丸橋昌太郎教授(45)らは学生6人を伴い12~19日の日程で奄美大島を訪れている。今回の訪問研修は、大阪のウェルネスオープンリビングラボとの産学連携事業の一環。町田酒造や西平酒造の酒蔵見学を行い、学生たちに新商品を開発してもらうというプロジェクト。芝浦工業大学デザイン工学部・原田曜平教授ら教員5人も帯同している。

 教授らからはブランディングの課題が出された。学生たちは、同市のアーケード商店街や龍郷町のビッグⅡなどで住民や店員にヒアリング(聞き取り)などを行い、島の雰囲気を感じ取ることから始めたという。同市の紬観光課や奄美博物館、焼酎販売店も訪れ、滞在約1週間で今回の発表となった。

 総合法律学科3年の久保田大翔(ひろと)さん(21)、阿部悠峰(ゆうほ)さん(21)、山下隼永(はやと)さん(20)ら3人はネット販売限定の黒糖焼酎100㍉㍑瓶飲み比べ5本セットを提案した。瓶には伝統的な大島紬の柄を現代風にアレンジしたものを採用。数量限定の〝初垂れ(はなたれ)=蒸留の際最初に出てくる原酒〟を目玉に、奄美大島・徳之島・喜界島の前割りなどを組み合わせた(各島の水の違いを感じてもらうコンセプトのため、成り立ちが同じ隆起サンゴ礁の沖永良部・与論島は除いた)。商品名は「あまみの雫」。

 オンライン参加したふるさとチョイス開設者で、奄美と軽井沢の2拠点生活をしている須永珠代さんから「経営者目線で見るとすばらしい提案。ここに消費者目線の考えを加えてほしい」と厳しい意見もあったが、両酒造関係者からは、「業界で当たり前に使っている初垂れを新しい発想で商品化、提案している」「島全体の課題を黒糖焼酎中心に考えてくれた。キャッチーなラベルデザインなど発想に驚かされた」と高評価を受けていた。

 3人は、「聞き取りに応じてくれた島の人たちのフランクな態度に居心地がよかった。今回の提案も焼酎の水にこだわる人の声から発想を得た」と話した。