オオトラツグミ一斉調査

オオトラツグミのさえずりに耳を澄ます調査員

中央林道で86羽確認
野鳥の会 22羽減も「自然減少の範囲内」

奄美大島だけに生息する国指定天然記念物の野鳥・オオトラツグミの一斉調査が19日早朝、奄美中央林道などであった。島内外の会員やボランティアら118人は、林道を歩いて鳴き声を調査。同林道の確認数は86羽(速報値)で、過去最高だった前年と比べて22羽減ったものの、主催するNPO法人奄美野鳥の会は「自然減少の一環。生き物なら変化はあり、範囲内と考えられる」とした。

調査は今年で30回目。オオトラツグミの詳しい生態などはわかっておらず、生息状況を把握することで保護に役立てようと、毎年3月ごろの繁殖期に行っている。

場所は、奄美市名瀬から宇検村をまたぐ奄美中央林道(約42㌔)を中心に、住用ダム線などの各支線でも実施。2・3人一組で往復4㌔をそれぞれに分担。時間は午前5時半から1時間。「キュロロ」とさえずりが聞こえると、場所や方角、時間などを記録した。

参加は2回目という県職員の冨永圭一さん(47)はベテランの水田拓さんと里林道で調査し、2個体を確認した。「(1回目は)違う鳥と混同していたが、今回ははっきりと聞き取ることができた。植物に目を取られたりと自然の素晴らしさも体感できて楽しめた」と喜んだ。

オオトラツグミは、1994年調査開始以降は50羽程度で推移していたが、2013年を境に100羽前後まで急増した。昨年は過去最高の108羽が確認された。

永井弓子会長(48)は「繁殖期のピークがずれている可能性などもあり、まだ何かが原因ということではない。自然減少の範囲内」と強調。「(個体数の増加に伴う)調査方法の検討なども進めてはいる。今後も減少が続くようだと問題だが、しっかりと推移を見守っていきたい」と話した。

今後は大和村などでも補足調査を行い、4月には島内の最終的な数を確定させる。