沖縄県でもCAS被害確認

外来種カイガラムシによるソテツ被害が確認された沖縄県でも防除方法の周知を図っている(沖縄県ホームページで公開)

 

外来種カイガラムシ 国頭村のソテツ付着
「自治体の連携・主導を」

 

 高い繁殖力でソテツを枯らす外来種カイガラムシ(アウラカスピス ヤスマツイ=英語表記の通称はCAS〈キャス〉)が、沖縄県でも確認された。国内初確認となった奄美大島に続いて2例目。フロリダ(米国)など海外では甚大な被害が出ている中、国内でも広がりつつある事態に自治体の連携・主導的な役割を求める声もある。

 沖縄県の被害や防除の呼び掛けは、同県環境再生課が県ホームページで公開している。それによると、今年3月に沖縄島北部やんばる地域にある国頭村でCAS被害が初確認(沖縄県で)されたもの。被害を受けたソテツに付着していたカイガラムシを採取し、農林水産省の那覇植物防疫所が調べたところ、同種と判明したという。対策として防除方法については、被害葉は切り落として処分や薬剤散布・こまめな観察など鹿児島県同様の内容を周知している。

 奄美大島でのCAS被害は、奄美市名瀬地区の名瀬湾周辺や龍郷町、さらに住用地区や大和村の一部などにも拡大している。関係機関と連携しながら被害調査や情報提供・収集などに取り組んでいる県大島支庁林務水産課は「沖縄県でも被害が確認されたことは把握している。奄美大島の被害との関連性については現在のところ判断できない」としており、沖縄県から問い合わせなどは来ていないという。なお、被害が拡大している状況から島内の造園業者に対し、同課では島外に持ち出し(出荷)しないよう協力を呼び掛けている。

 海外でのCAS被害や対策について情報収集し、奄美での状況に高い関心を示す高梨裕行さん(47)は、沖縄県でも確認されたことについて「日本では全く経験のない害虫で対策が難しく、とても残念。海外で有効性の認められている農薬(薬剤)の早期認証には地元自治体から国へ働きかける必要がある。ソテツ自生地の遺伝子保護も今すぐにすべき」と提案。奄美、沖縄に限らず「自治体の連携と国の対応を促すような主導的な役割を期待する」と積極的な取り組みを求めている。