奄美大島自然保護協 奄美市で文化シンポ

トークや討論、音楽と多彩に展開した暮らしの文化シンポジウム「〝奄美らしさ〟とは」

「奄美らしさ」を強みに
暮らし軸にトークやライブ演奏も

奄美大島自然保護協議会(会長・平田博行奄美市世界自然遺産課長)主催の暮らしの文化シンポジウム「〝奄美らしさ〟とは」が21日、奄美市名瀬の奄美観光ホテルであった。専門家や調査員、音楽家や学生らが登壇し、様々なアプローチでトークセッションやパネルディスカッションを展開。先人らが培ってきた暮らしにある文化を思い返し、今の時代に必要な島の「個性」や「強み」を考えた。

同協議会が進める啓発事業の一環。奄美群島日本復帰70周年記念と銘打ち、暮らしを軸にした奄美の「らしさ」を共に考えていこうと企画した。

セッション間には、企画運営を手掛ける一般社団法人巡めぐる恵めぐる代表理事の新元一文さんとピアニスト・村松健さんによるバンドユニット「エーパルス」が、現代風にアレンジしたシマ唄のライブも披露。嘉川優子さんが進行役を務め、約80人がトークや討論、音楽などに耳を傾けた。

北海道大学生の芝崎瑞穂さんは、現在聞き取り調査を進めている宇検村平田集落の盛宮信治さんと前田尚登さんを招いて「海と暮らしの変遷」と題して対談。戦後、道路が整備されてない時代の村民らは生活や遊びの場を海に求めたと説明し、「嗜好品のない時代だが、食べ物などがないと思ったこともない。開発は海を壊したりもする。便利と引き換えに失うものもあるはずだ」と警鐘を鳴らした。

パネルディスカッションでは、奄美博物館館長の久伸博さん、日本自然保護協会の中野恵さん、鹿児島大学生1年生の要田ののかさんら6人が「今必要な奄美らしさ」をテーマに討論。「生活文化は海・山・川と深く関わってきたが、それがだんだんと遠ざかってきている」「ハングリーさがエネルギーや行動につながっている」「(過去には)正解を作っていなかったから、それぞれの集落で個性が生まれた。内地に視点を置くのではなく、地元に軸を置いて考えることが大事だ」といった意見があった。